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英高級百貨店「ハロッズ」で24億円買い物の女性、身元判明
2018/10/12 9時間前

英国で新たに施行された反汚職法に基づき、「不明財産に関する命令」がこのほど初めて適用され、ロンドン西部の高級百貨店ハロッズで10年間に1600万ポンド(約23億円)もの買い物をした女性の名前が10日、ザミラ・ハジイェバ氏(55)と公開された。

ハジイェバ氏はこれまで裁判で匿名を求めていたが、人々は事実をすべて知る必要があるとして報道機関が異論を唱えた結果、ハジイェバ氏の法廷での要請は退けられ、名前が明かされることになった。

アゼルバイジャン出身のハジイェバ氏は、元政府系銀行員の妻。

ハジイェバさんは高等法院で財産の資金源を説明できない場合、ハロッズ近くの1500万ポンド(約22億円)の自宅とロンドン郊外のバークシャーに所有するゴルフコースを失う可能性がある。

今回初めて適用された、英国の「不明財産に関する命令」(UWO)に基づき、ハジイェバ氏は英国家犯罪対策庁(NCA)に対し、夫で詐欺と着服で有罪判決を受け服役中のジャハーンギール・ハジイェブ受刑者と自分がロンドンの高級住宅街ナイツブリッジに豪邸を購入できた理由を、明確に説明する必要がある。

ハジイェバ氏の弁護士は、UWOは夫婦が「違法行為をしたと示唆するものではなく、そう受け取られるべきでもない」と述べた。夫婦は、命令を不服とする訴えの許可を求めている。

「不明財産に関する命令」とは

UWOとは、不正に入手した金を英国内で洗浄した可能性のある、不正行為疑惑が持たれている外国政府関係者を対象とする新たな法的権限。

NCAの捜査員は、数十億ポンドの不正資金が英国の不動産に注ぎ込まれていると考えている。しかし十分な証拠がないため、不動産所有者を告発したり資産を差し押さえたりするのはほぼ不可能だ。

新たに導入されたUWOは、不動産所有者に強制的に資産を開示させる試み。
不正が疑われる外国政府関係者またはその家族が、財産の出所として正当な資金源を示せない場合、NCAは高等法院に対し、不動産の差し押さえを要請できる。

UWO初適用の夫妻は何者なのか

ジャハーンギール・ハジイェブ受刑者は過去にアゼルバイジャン国際銀行で会長を務めていた。

ハジイェブ受刑者は2016年、同行から数千万ポンドが消えた大規模な詐欺および着服事件に加担したとして有罪判決を受け、15年の禁錮刑が確定した。また、裁判官から3900万ドル(約43億円)の返済も命じられた。

その7年前、英領バージン諸島に拠点を置く企業が、ロンドン西部のハロッズから徒歩数分の場所にある豪邸に1150万ポンド(約17億円)を支払った。現在の市場価格では1500万ポンド(約22億円)になるとみられている。
(リンク先に続きあり)

(英語記事 Woman who spent £16m in Harrods revealed)