10/20(土) 12:07配信
毎日新聞

 青森県議2人によるブラジル視察は同県五所川原市の事業に同伴しただけで必要性はなかったとして、市民団体「弘前市民オンブズパーソン」が旅費計約144万円を返還させるよう三村申吾知事に求めた訴訟で、青森地裁(飯畑勝之裁判長)は19日、請求を認めて知事に全額の返還請求を命じた。

 判決によると、同市は2015年2月、サンパウロであったサンバカーニバルに山車「五所川原立佞武多(たちねぷた)」を出演させるため、市職員を派遣。県議2人は「県の国際観光振興に関する調査」などを目的に市職員に同行する形で現地を訪れた。

 判決理由で、飯畑裁判長は「報告書は県議会事務局職員が市の復命書案に手を加え、県議が押印しただけ。表現も似たところが多い」と指摘。独自調査もなく、1人約70万円もかけて派遣する必要はなかったと結論づけた。

 三村知事は「判決内容を確認して対処したい」とコメントした。

 全国市民オンブズマン連絡会議事務局長の新海聡弁護士は、公費を伴う海外視察は議会審議に役立つものでなければ認められないとした上で「地方議会の海外視察の多くは理想とはほど遠い。議会もそれを審議できていない」と指摘した。

 議員の海外視察を巡っては、北九州市議会が一部議員が公務中に飲酒していた問題を受けて定例的な海外視察の廃止を決めたほか、岡山県議会でも複数の報告書にほとんど同じ文章が使われていたことが判明している。【北山夏帆、井川加菜美】

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