外食業界を中心に人手不足による業績への懸念が深刻さを増している。吉野家ホールディングス(HD)は、平成31年2月期連結決算で最終損益が6年ぶりの赤字になる見通しを公表した。慢性的な人手不足を背景にアルバイト・パートの給与がアップしているにもかかわらず、価格転嫁が進まず、収益が上がらない企業は多い。一方、従業員の離職や採用難による収益悪化を要因とした倒産件数は増加傾向にあり、経営体力の乏しい小規模会社にとっては、人手不足は死活問題となっている。

鶏すき丼も消える

 「鶏も、うまいぞ。」

 牛丼が主力の吉野家で、こんなキャッチフレーズで今年4月に6年ぶりの鶏肉メニューとして復活した「鶏すき丼」が来年2月までに姿を消す見通しとなった。

 肉やコメなどの食材価格が高騰している中、アルバイト・パートの時給、残業代などが増えて、利益を圧迫。管理コストの見直しが大きな課題になっているためだ。

 10月5日に発表された吉野家HDの30年8月中間連結決算は、8億5千万円の最終赤字(前年同期は12億9千万円の黒字)に転落。31年2月期予想は、売上高は3・3%増の2050億円だが、本業の儲けを示す営業利益は72・6%減の11億円、最終損益は11億円の赤字になると見込まれる。

https://www.sankei.com/smp/premium/news/181022/prm1810220010-s1.html