文部科学省が25日に公表した平成29年度の問題行動・不登校調査では、会員制交流サイト(SNS)などを使った
「ネットいじめ」が過去最多となり、いじめの“質”が急速に変化している実情が浮き彫りになった。

ネットいじめは学校や家庭では把握しにくく、専門家らは「文科省の調査で分かるのは氷山の一角」と指摘する。

文科省の調査で確認されたいじめのうち、「パソコンや携帯などでの誹謗・中傷」とされた例は、
26年度調査の7898件にはじまり、27年度9187件、28年度1万779件、29年度1万2632件と、年々増加している。

文科省担当者によると、数年前から増えている典型的ないじめが、「ライン外し」と「既読スルー」だ。

友達グループでつくる無料通話アプリ「LINE(ライン)」から特定の人物がブロック(強制排除)されたり、その人物が書き込むとそれまでのやりとりが止まり、無視されるというもので、
「学校現場でも『ライン外し』などを注意し、指導に務めているが、なかなかなくならない」(児童生徒課)という。

いじめ相談などに取り組んでいるITサービス会社「ストップイットジャパン」(東京都中央区)によれば、最近はSNSのプロフィール欄を悪用し、
仲間への誹謗、中傷をグループ以外にも広げるような事例もみられる。
同社の谷山大三郎代表は「いじめの様態が巧妙化し、教師や保護者らが発見しにくくなっている。
実際のネットいじめは、文科省調査の何倍もあるだろう」と警戒する。

ネットいじめは、学校現場などで把握しにくく問題が深刻化することがある。
28年11月に新潟市で自殺した高校1年の男子生徒は、
不愉快なあだ名と関連する合成画像をSNS上でやりとりされるなどしていた。
埼玉県で昨年11月、自宅で死亡していた小学6年の女子児童も、直前にSNSで自殺に追い込まれるようなやりとりを同級生としていたとされる。

ネットいじめを研究している加納寛子山形大准教授は、「SNS上の仲間外れや既読・未読無視がネットいじめの中心だが、
文科省の現行調査では分類して聞いておらず、いじめの質的な変化が捉えられない。
『いいね』ボタンを押してほしいという承認要求が加害者側の動機になることも多く、現代のいじめの実態を把握できる方法に改めるべきだ」としている。

http://news.livedoor.com/article/detail/15498360/
2018年10月25日 18時42分 産経新聞