10/29(月) 8:59配信
Web東奥

 青森県が過去10年間(2008〜17年)の農作業事故の発生件数を作物別に調査したところ、リンゴなどの果樹が73件で全体(194件)の37.6%を占め、最も多かった。傾斜地にある農園で、機械が横転して農家が下敷きになる事故が後を絶たないという。事故防止の有効な手だてはなく、啓発活動などを通して農家の安全意識を高めるしかないのが実情だ。

 他の作物の事故件数は野菜が22件で全体に占める割合が11.3%、水稲が18件で9.3%、畜産が14件で7.2%など。農作業事故の死者数を過去10年間でみても、果樹が36人で全体の34.3%を占め、突出して多かった。

 背景には果樹ならではの事情が絡む。リンゴ農家は農薬を散布する際、専用の車両「スピードスプレーヤー」を使う。運転席がむき出しの旧型の車両が横転し、農家が下敷きになって死亡する事故が毎年のように発生しているという。特に山間部などの傾斜地の農園では安定して走行するのが難しく、事故発生の危険性が高い。

 また、余分な果実を間引く「摘果」や収穫などの作業で使う脚立や台車から落下する事故も目立っている。

 頑強なフレームなどで運転席を覆ったスピードスプレーヤーに更新すれば、車両の下敷きになって死亡する危険性は確実に減る。ただ、価格は数百万円から1千万円ほどで家族経営の小規模農家が購入するのは簡単ではない。農作業事故による死亡者数を年齢別にみると、65歳以上が約8割を占めており、有効な解決策が見つからなければ、農家の高齢化が進むにつれて死亡者数が増える恐れがある。

 県構造政策課の担当者は「事故の危険性を知ってもらうよう、事故防止に対する農家の意識を少しずつ変えていくしかない。例えば、建設現場の作業員のようにヘルメットをかぶれば事故は減るのではないか」と話す。

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