多良間村幹部と地元業者らに絡む贈収賄疑惑で、沖縄県警捜査第2課が業者に対する捜査でも捜索の令状(捜索差し押さえ許可状)がないまま、事実上の強制的な家宅捜索を行っていたことが2日までに分かった。
業者が本紙の取材に答えた。

同課は「業者から許可を得ていないという事実はない」と強制捜査ではないとの認識を示しているが、業者側は「棚や机を勝手にあさっていた」と主張し、事実関係に食い違いが生じている。
本紙の県警への取材申し込み後に、担当捜査員から業者に「許可は得ましたよね」などと口裏合わせとも取れる電話があったという。

業者や地元関係者によると、県警は6月30日早朝、業者代表の男性を宮古島署へと任意同行した。
代表男性は事務所の捜査のことなどは知らされず妻の携帯番号を教えたという。

その後、捜査員は妻に電話し、立会人として事務所に来るよう求めた。
妻によると、その際、警察手帳を提示しただけで、事務所内を確認させるよう要求。
「旦那の許可は得ている。旦那が普段使っている机はどこか」などと質問したという。

捜査員は事務所内の机や棚を開けて資料を探し、契約書や領収証、通帳などの資料やパソコンなどの備品を調べた。
捜索が終わる際には妻に任意提出書に署名させ、工事に関する資料やノートパソコンなど75点を押収したという。

県警は一連の捜査活動について「強制捜査ではなく、必要な資料は事前に特定しており、その資料を任意で提出してもらった」としているが、業者側は「警察官が机や棚を探して提出させられた」と話しており事実関係に食い違いが生じている。

本紙は業者側への取材後の9月25日に捜査第2課に対して文書にて取材を行った。
業者側によると10月上旬、捜査員から電話があり、「あなたに教えてもらった奥さんの番号に私がかけている。許可は得ていることになる」などと述べたという。

●<識者談話>釜井景介弁護士(元裁判官)/違法捜査の可能性

捜査員の申し出を拒絶できることを知らずに捜索を承諾した場合や捜査員が捜索権限のあるように装った結果、相手方が誤信して承諾した場合は真意に基づく承諾とは言えない。
今回の捜査手法は承諾のない捜索で違法捜査の可能性がある。

捜索に立ち会った妻は「夫が承諾している」という誤解があり、有効な承諾とは言えないはずだ。
さらに妻に捜索の承諾権限があるかどうかという問題もある。

押収する目的物が特定できているのであれば、わざわざ事務所に捜査員が来て捜索する必要はない。
代表である夫に対して、特定した資料を持ってくるよう依頼することも可能なはずだ。

犯罪捜査規範108条では承諾があっても捜索差し押さえ許可状の必要性が定められている。
それはまさに任意性の有無を争うこのような事態を想定しているからで、犯罪捜査規範にも抵触している。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181103-00000012-ryu-oki