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http://repository.seinan-gu.ac.jp/bitstream/handle/123456789/833/lr-n43v3_4-p1-179-nis.pdf?sequence=1&;isAllowed=y
(2) 前記(1) のとおり,1項前段と後段は明確に区別して理解すべきもの
であるが,そうは言っても,両者を分かつのは「主観的共同」の有無だけであ
るから,実際の場面においては,両者は画然と区別されるというよりも,むし
ろ相互に流動的な関係にあるものということができる。
そして,(1) で述べたところによれば,@1項前段による構成がなされた場
合において,主観的共同の要件が否認され,結局これを証明することができな
いときに,初めて後段の主張が表に出てくるということになるのであって,こ
れとは逆に,A原告が1項後段による構成をした場合において,被告が自己の
行為と結果との間の因果関係がないことを主張立証し,これに対して更に原告
が加害者側に主観的共同の関係があることを主張する(再抗弁)という関係に
はないものと考える。
なお,右@の場合において,当然に後段の適用があるというものではなく,
やはり改めてその旨の主張をなすべきことが求められる。何故なら,この場合
には709条の単独不法行為がたまたま競合しているにすぎないという状態に帰
するのが本来であり,したがって,原告としては各不法行為者毎にその行為と
結果との間の因果関係を主張立証しなければならないことになる筋合いだから
である。然るに,後段の適用を受けることによって,それを免れ得るわけであ
るが,その反面,被告から減・免責の主張立証がなされるというように,前段
と後段とでは法的効果にも著しい差異があり,それが又訴訟の審理の上でも必
然的に大きな影響をもたらすことが想定されるからである。