>>363

あなたは表面的なことだけで判断していると思われるので詳しく言うと・・・

問題となる請求権とは、財産を棄損された際に補償する請求権です。
つまり、財産権の一部となります。
財産権とは、特に法律に明文化されなくても自然に備わっているとされている権利。
これに関しては、条約・協定であっても消滅させることはできません。
さらに、条約・協定を結ぶ場合、お互いの国で条件を揃えることが必要ですから、
もし仮に韓国で請求権を消滅させたら、日本でも財産請求権を消滅させなくてはなりません。
財産権を消してしまうと、経済運営の根本を否定することになるのでこれはできません。
そこで、個人の請求権そのものの存在は認めつつも、実際の運用としては
『外交保護権』を相互に放棄するとしたのです。
では、外交保護権とはなにか?これは、国際間での損害賠償等で使う権利。
たとえば、日本人である私飯田がA国によって違法な損害を受けた場合、日本は国として
A国に対して国家責任を追及することが出来るという権利です。
なぜ、私個人で損害賠償請求するのではなく、日本という国を経由するかというと、
国際法では権利を行使する主体は国でなくてはならないという原則があるから。
とはいえ、損害は賠償されなければならず、そこで外交保護権という折衷案が採用されているのです。
さて、その外交保護権を相互に放棄するとどうなるのか?
今回のように訴訟を起こすことはもちろんできますが、その結果賠償判決が出たとして、
実際に差し押さえようとしたところで外交保護権を行使することになります。
つまり、差し押さえは事実上できないということです。