日本政府は、巨額の公的資金を投入された韓国の大手造船企業が市場価格をゆがめているのに対応しないのはWTO=世界貿易機関のルールに違反しているとして、韓国政府に対しWTOへの提訴の前提となる2国間協議を要請する方針を固めました。

経営悪化に伴い、韓国政府がおよそ1兆2000億円の公的資金を投入した韓国の大手造船企業「大宇造船海洋」をめぐり、日本政府は、安い価格で船舶の建造を受注し市場価格をゆがめているとして対応を求めてきました。

しかし先月下旬に行われた日韓の政府間協議でも韓国政府は前向きな姿勢を示しませんでした。

このため日本政府は、韓国政府の対応はWTO=世界貿易機関の補助金に関するルールに違反しているとして、貿易上の紛争処理を行うWTOの小委員会への提訴の前提となる2国間協議を韓国政府に対して要請する方針を固めました。

日本政府は、原発事故に伴う日本産の水産物の輸入規制などWTOで合わせて3つの事案で韓国政府と係争中で、今回の件を提訴すれば4件目となります。

韓国の最高裁判所が先に太平洋戦争中の徴用をめぐる裁判で、日本企業に対し賠償を命じる判決を出したことについて日本政府は強く批判し、関係の悪化が懸念されていて、今後の韓国政府の対応が注目されます。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20181106/k10011699711000.html