元徴用工問題 本質は人権侵害
日本の弁護士有志が声明
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-11-06/2018110601_02_1.html

 日本がアジア・太平洋地域を侵略した太平洋戦争中に、日本で強制的に働かされた韓国人の元徴用工4人に、韓国の最高裁判所が新日鉄住金に損害賠償を命じた判決(10月30日)について5日、日本国内の弁護士有志が声明を発表しました。

 声明は、原告の元徴用工には賃金が払われず、感電死する危険がある労働をさせられるなど、劣悪な環境での強制労働にあたるもので、問題の本質は重大な人権侵害であると指摘。
真の解決には被害者が納得し、社会的にも容認される解決内容であることが必要だと強調しました。

 そのうえで日本政府や日本の最高裁判所はこれまで日韓請求権協定で実体的な個人の賠償請求権は消滅していないと解釈してきたのに、
安倍晋三首相が「完全かつ最終的に解決した」と、全ての請求権が完全に消滅したかのように発言したことは誤りであるか、ミスリーディングであると批判しています。

 また安倍首相が「国際法に照らしてあり得ない判断」と述べていることに、「重大な人権侵害に起因する個人の損害賠償請求権を国家が一方的に消滅させることはできないという考え方は、
(中略)国際人権法の進展に沿うもの」と反論。日韓両政府と同社に、根本的な解決に向けて取り組むよう求めています。

 声明は90人以上の弁護士が賛同しました。
呼びかけ人の一人の川上詩朗弁護士は、会見で、訴訟の本質や日韓請求権協定の正確な情報が国内に伝わっていないと感じ、日韓両国の対立だけがあおられている現状を懸念していると説明。
「企業は勇気を持って解決へ一歩踏み出してほしい。後押しするような世論を市民とつくりたいし、私たちも弁護士としての責任がある」と語りました。


会見する山本晴太弁護士(左)と川上詩朗弁護士=5日、参院議員会館
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-11-06/2018110601_02_1.jpg