日銀の黒田東彦総裁は5日、名古屋市内で記者会見し、中部企業に対し「日本経済をけん引する役割を果たしていただきたい」と期待を表明した。
最適化された世界での生産体制や災害からの復旧の早さなどを挙げ、「日本企業全体にとって重要な示唆を与えている」と評価した。

日銀は中部3県(愛知、岐阜、三重)の景気を昨年10月以降、最上位の「拡大」と判断している。
黒田総裁は会見で「内外需がしっかり増加している状況が確認できた。大変心強い」と述べた。

米中の貿易摩擦については「グローバルな生産体制を見直した企業はないようだ」としつつ、「企業は警戒しているし、注意深く見守りたい」とした。
人手不足を巡っては「海外の旺盛な需要に応えるには設備だけでなく雇用もタイムリーに確保し、生産能力を増強するのが欠かせない」と話した。

黒田総裁が「印象に残った」と強調したのが、10〜20年先を見据えた中部企業の前向きな姿勢だ。
人工知能(AI)などデジタル化や自動車産業の100年に1度の大変革、リニア中央新幹線の建設の3つを挙げ「中長期的な視点に立った取り組みが(中部経済の)力強さにつながっている」と指摘した。
黒田総裁はこの日午前には中部の経済・金融界と懇談会を開催。経営者ら約300人が集まった。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO37381850V01C18A1L91000/