韓国徴用工判決 事実上の国交断絶を突きつけたに等しい
https://www.news-postseven.com/archives/20181105_795190.html

「国交正常化の前提となっていた合意を反故にするのですから、
事実上の“国交断絶”を突きつけたに等しい」

 朝日新聞元ソウル特派員でジャーナリストの前川惠司氏は、
韓国の大法院(最高裁)が10月30日に下した判決について、そう呆れた。

 日韓国交正常化が実現した1965年に、「日韓請求権協定」が結ばれた。
協定によって、日本政府は韓国に対して「3億ドルの無償経済支援」を行ない、
その代わりに韓国は「個人・法人の請求権を放棄」すると決まった。
協定には請求権に関する問題が「完全かつ最終的に解決された」と明記されているのだ。

日韓問題に詳しい麗澤大学客員教授の西岡力氏が解説する。
「日韓国交正常化交渉の際に、日本政府は韓国人の元徴用工に対して、
個人に直接支払うかたちでの補償を提案していました。
しかし、韓国側はそれを拒否。政府に一括して支払うことを求めたため、
日本がそれに応じた経緯がある」

つまり、元徴用工に補償しなければいけないのは、
日本政府でも新日鉄住金などの日本企業でもなく、
補償金を“預かっている”韓国政府なのだ。

 だが、韓国政府は日本からの経済支援金を元徴用工たちに渡さなかった。
1965年当時の韓国の国家予算は約3億5000万ドルであり、
それに匹敵する額の日本からの経済支援は、インフラ整備などに充てられた。
その結果として、韓国は「漢江の奇跡」と呼ばれる経済成長を遂げたわけである。

 そうした経緯を踏まえれば、「日本企業が元徴用工に補償しろ」という判決が、
国際法はもちろん、物事の筋を大きく違えたものであることがよくわかる。