RCEP、年内実質妥結へ交渉加速=難航分野は後回し−14日に首脳会合
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 日本と中国、東南アジア諸国連合(ASEAN)など東アジア地域包括的経済連携(RCEP)交渉の参加16カ国は12日にシンガポールで閣僚会合を開く。14日の首脳会合を前に、関税撤廃・削減交渉など難航分野を除いて各国が折り合う「年内の実質的妥結」を目指して交渉を加速する。首脳会合では閣僚折衝の成果を踏まえ新たに「2019年の完全合意」を目標に掲げる方向で調整が進んでいる。
 時事通信が入手した首脳会合の声明案には「2019年の完全合意に向けた取り組みを閣僚、交渉官に指示した」との表現が盛り込まれた。
 RCEPは年内妥結を目標に協議を続けてきた。ただ、インドなどが高いレベルの市場開放に難色を示し、関税交渉は滞り気味だ。
 議長国シンガポールなどはゴールに一歩でも近づくため今回、不完全な形ながら実質妥結を宣言した上で、首脳会合で新目標(19年完全合意)を設定する青写真を描く。世耕弘成経済産業相は9日の記者会見で「見通しは予断を許さないが、年内実質妥結を目指す」と述べた。
 RCEP交渉加速の機運が盛り上がる背景には、トランプ米政権の保護主義的な姿勢への危機感がある。特に米国が9月にカナダ、メキシコと合意した北米自由貿易協定(NAFTA)新協定には中国を念頭に置いた「非市場経済国」との経済連携を阻害する条項が盛り込まれた。政府関係者は「来年始まる日米の物品貿易協定(TAG)交渉でも同じ条項を迫られる」と警戒。中国を含むRCEPは交渉が遅れれば、対米関係上、妥結のハードルが上がるとの見方を示した。
 ただ、RCEP交渉は全18分野のうち、10月末までにまとまったのが「税関手続き・貿易円滑化」など5分野にとどまる。関税撤廃・削減を扱う「物品貿易」、「電子商取引」といった重要分野は主張に隔たりが大きく、実質妥結の表明は難しいとの見方がある。(2018/11/10-15:16)