就労外国人 多面的な役割 消費者、納税者としても
毎日新聞 2018年11月9日
http://mainichi.jp/articles/20181109/ddm/005/070/030000c

外国人労働者の受け入れ拡大に関する議論には、重要な視点が欠けているようだ。外国人を人手不足対策の「労働力」としてしか語らず、それ以外のさまざまな役割にあまり光を当てていない。

 もちろん日本経済にとって、労働者の補充は喫緊の課題だ。省力化を徹底してもなお足りない人員を国外に求めるのは、自然な流れだろう。

 しかし、国内に生活の拠点を置いて働く外国出身者は、労働力以上のものを日本経済にもたらす。この点を軽視すべきでない。

 まず、消費者としての役割だ。

 消費活動の中心でもある現役世代の人口急減は、需要の縮小につながり、経済成長の足かせとなる。

 人工知能(AI)の活用で人手不足をある程度和らげることができたとしても、AIは外食をしたり、電車に乗ったりはしない。

 外国人労働者が家族とともに長く日本で生活することになれば、日本人の世帯と同じように住宅や教育関連の消費も増えるだろう。

 さらに彼らの多様なニーズに対応した商品やサービスが生まれたり、それが雇用の創出につながったりすることも期待できそうだ。

 もう一つの主な貢献として、納税者の役割がある。働けば所得税を納めるし、生活の中で消費税も我々と同じように負担する。