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【7】原子爆弾に打ち勝つための「対処法」を特集
https://www.newsweekjapan.jp/stories/2018/11/14/save/111402huruya.jpg
1945年8月10日、ソ連対日参戦を大きく伝える朝日新聞紙面。左下赤で囲った部分は、

「新型爆弾への対処」特集
上記の新聞紙面は、ソ連の対日宣戦布告を大きく伝える1945年8月10日の朝日新聞紙面である。
注目して欲しいのは、筆者が図示した赤枠内の記事。「野外防空壕に入れ 新型爆弾に勝つ途」とあり、
一般市民へ原爆への対処法を特集している。

記事内から抜粋すると、現代の私たちからすれば信じられないほど楽観的な原爆への対処法が
平然と喧伝されている。

1)新型爆弾に対して待避壕は極めて有効であるからできるだけ頑丈に整備し利用すること。
2)軍服程度の衣服を着用していれば火傷の心配は無い。防空頭巾及び手袋を着用していれば
手や足を完全に火傷から保護することが出来る。
3)前記の待避壕をとっさの場合に使用し得ない場合は地面に伏せるか、堅牢建物の陰を利用すること。
4)絶対に屋内の防空壕を避けて屋外の防空壕を使用すること。
(1945年8月)8日に発表した心得のほか、以上のことを実施すれば新型爆弾もさほど恐れることはない。
なお新型爆弾に対する対策はつぎつぎ発表する。
出典:同上、強調筆者

なにを悠長なことを言っているのだろうか、と現代の私たちは思うだろう。しかし、原爆の直撃に
あった広島・長崎以外の日本人のおおよそ原爆に対する皮膚感覚とはこのようなものであった。

原爆がいかに悲惨で、その放射能がいかに被爆者を苦しめたかの実相を知るのは、戦後、日本が
GHQの検閲から脱して、独立を回復した以降のことであり、被爆の実相への理解は永い時間を
要したのである。