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■2006年には原爆ドームも登場

同様の騒動は過去にも韓国で起きている。

2006年秋に発表された歌手のピ(Rain)の「I'm Coming」では、ピが原爆ドームとみられる建物を背景に歌い踊る場面が登場する。

歌詞は戦争や原爆とは直接関係ないが、ビデオでは、廃虚となった街に羽根をはやしたピさんが舞い降り、軍服姿のバックダンサーと踊る。
焼けた建物の中から炎に包まれた人が飛び出てくる場面もある。

アルバムが日本で発売され、衛星放送の音楽番組などで流れた今月20日ごろから、ブログやネットの掲示板で話題になった。
動画投稿サイト「ユーチューブ」には「日韓の反感をあおろうとしている」「反日歌手」といったコメントが多く書き込まれた。

日本のCD発売元キングレコードは「ビデオを見て驚いたが、『戦争と飢餓に苦しむ世界を癒やす』というアルバム全体のメッセージに共感した」と話す。

ピさんの所属するJYPエンターテインメント(ソウル)の担当者は「日本好きで知られるピが、日本のファンを侮辱するような意図はない」とコメントした。

広島県原爆被害者団体協議会の金子一士・理事長(81)は「被爆直後をイメージしたような場所で歌い踊るのだから、いい気持ちはしない。
被爆者の苦しみを揶揄(やゆ)しているようにさえ感じる。
だが感情的に非難しても理解が遠のくだけ。両国の若者らが話し合いを重ねる契機になってほしい」と話している。

(朝日新聞大阪本社版2006年12月29日付「韓流音楽ビデオに原爆ドーム?廃虚 被爆者ら『いい気持ちしない』」より)