最近、作業着がスタイリッシュになっていることはご存じだろうか? プロだけではなく、一般客の間でも作業服人気が口コミで広がり、作業着がファッションのブームになっている。そんな流行の先駆者が、職人御用達の店・ワークマンだ。
女性にも人気で、雑誌の2019年ヒット予想ではワークマンプラスが1位を獲得した。なぜ作業着ブームなのか。火付け役に聞いてみた。(増田 寛)

店内に入れば、マネキンがオシャレなジャケットやコートを身にまとう。若い女性や熟年夫婦が楽しそうに大きな鏡の前で試着する。
赤、黄、水色など明るい色の商品が多く、まるでアウトドア専門店に来ているような気分。ここが職人御用達のワークマンだと思う人は少ないだろう。

11月8日にオープンした川崎市の「ワークマンプラス中野島店」。開店日は午前7時30分から長蛇の列ができ、広い店内は人であふれ返った。

通常店舗で月2回は買い物をするという20代の男性塗装工は「職人でも、一般のお客さんでも買い物ができるような雰囲気」と違いに驚いた。

ワークマンプラスはアウトドア向けの商品中心に扱うワークマンの姉妹店。雑誌「日経トレンディ」の「2019年ヒット予測ランキング」では、2位の「新元号フィーバー」を抑え、スポーツ用品店・デカトロンとともに1位を獲得するほど注目を浴びている。

これまでのアパレル業界にはなかった「高機能ウェア」の市場を開拓、作業着専門店では見かけないマネキンや大きな鏡を店内に設置、安くて女性でも着られる作業着―。さまざまな革新をもたらしたことが認められた。

ワークマンブームの発端は約2年前にブロガーが紹介した「ファイングリップシューズ」。油で滑らないように厨房(ちゅうぼう)で使うコックシューズのデザイン性を高めたところ、妊婦や女性に大人気になった。
20代の女性事務員は「妊婦さんが使っていると聞き、買いに来ました。まだ予定はないですが、もしかするかもしれないので」と口コミ効果で客層が広がった。

かつて、配給される作業服といえば地味な色合いで、派手な色はなかった。特に赤は血を連想させ、タブーだった。だが、リーマンショック以降、会社から支給される作業着はなくなり、服は自腹になることが増えた。

「最近は人手不足で労働力を集めるために、作業着の規制が緩くなりました」と語るのは株式会社ワークマン営業企画部販売促進グループマネジャー・林知幸さん(45)。「作業着で個性を出す職人が増えてきました」と変化は如実だ。
今では赤の防寒防水スーツも出ている。商品全てがプロの現場での使用を想定しているので、機能性は折り紙付きだ。

現場のニーズに応え続けたことで、一般客から「高機能ウェア」との評価が広まった。今でこそ釣りマニアやライダーの間で人気になっている「AEGIS(イージス)」シリーズは、雨天の屋外作業用のプロ仕様の防寒防水ウェアだ。
バイクを趣味にする40代の男性自営業は「ライダーの間ではとても有名。品質もデザインもいい」。

高機能なだけでなく、値段の安さも魅力だ。釣りが趣味という40代の男性会社員は「ウェアが安いと有名。機能もしっかりしているのに、釣りショップで買う値段の4分の1で売ってる」と喜ぶ。
職人は作業服をまとめ買いするのが普通。壊れていると命に関わるので、常に予備を持つからだという。ワークマンは10万枚単位で衣類を発注し、費用を大幅に抑えている。

ワークマングループの売り上げは右肩上がり。特にワークマンプラスは絶好調で、2017年3月期は30億円、18年同期は60億円と2倍になった。19年同期には120億円を見込む。
店舗数は現在の2店舗から19年3月には10店舗に増やす予定。22日には3号店として「ららぽーと富士見店」がオープンする。

写真:釣りマニアやライダーの間で人気のAEGIS(イージス)」シリーズ
https://store.workman.co.jp/item/catogory_title_img/catogory145_main.jpg

写真:西日本ではカジュアルでかっこいい作業着がブーム。インナーシャツは赤の迷彩柄。上下ともにデニム柄が流行だという【右写真】昔ながらの作業着。東京はまだこのようなスタイルが多い
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画像:ワークマン年度別チェーン店全店売上推移
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ソース:スポーツ報知
https://www.hochi.co.jp/topics/20181116-OHT1T50300.html

2018/11/17