中米から米国を目指し、メキシコで北上を続ける移住希望集団「キャラバン」が米カリフォルニア州との国境地帯に集結している。

主な集結地ティフアナの東約200キロにある人口約80万人のメヒカリにも、地元報道によると3000人以上が到着。

一部はティフアナに向けて過酷な砂漠の旅を開始した。

コロニアル調の建物が並ぶ旧市街の広場に20日昼、粗末な衣服を身に着けたキャラバンの数百人が座り込んでいた。

いったん廃ホテルを利用した移民希望者収容施設などに分宿したが、支援態勢が充実したティフアナが目的地。

慈善団体などが手配するというバスを所在なげに待っていた。

ホンジュラス北西部サンペドロスラから出てきたホルヘ・ロメロさん(29)は、荷物を満載したベビーカー2台を押しながら、親族7人とともに1カ月を超える長旅に耐えた。

農場で働いていたが失業。いとこが犯罪組織「マラス」に殺されたことも出国の決意を後押ししたという。

「残念ながらホンジュラスは人の住める所ではない。子供の未来のために国を捨てた」。

難しいことは承知しているが、米国移住がかなえばクリーニング店で働いた経験を生かしたいと語った。

飛び跳ねていた息子ホスエ君(11)は、公園などでの野宿生活を「お父さんと一緒だから全然怖くはなかった」と振り返り、「米国に着いたら英語を一生懸命勉強したい」と目を輝かせた。

傍らで6カ月の赤ん坊をあやしていたエルサルバドル出身の10代とおぼしき夫婦は「情報がなく、右往左往しながら何とかやってきたが、この先どうなるのか」。

善意にすがってメキシコを縦断してきたが、その後の未来が描けないことに不安を隠せない様子だった。

一方、メヒカリ市民は、移住希望者の長期滞在は日常的な光景だけに、外国人の流入にそれほど抵抗感はない様子。

レストラン従業員のフアン・バルディビアさん(45)は「メキシコは移民の国。中米諸国の貧しい人々が米国を目指す気持ちは理解できる。ティフアナでは移民排斥デモがあったようだが、自分には理解できない」と話した。

荒涼とした砂漠と岩山を縫ってメヒカリとティフアナを結ぶ幹線道路には、徒歩で移動を始めたキャラバン参加者が数百人。

ヒッチハイクに応じるトラックなどが止まると、歓声を上げて飛び乗る光景が見られた。

ただ、運に恵まれない人々は日差しに焼かれながら歩き続ける。

十数時間前に出発したというホンジュラス人男性らが、うつろな目で道路脇にしゃがみ込んでいた。

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