※夜の政治

「週刊文春」10月18日発売号が報じた「国税100万円口利き疑惑」を皮切りに、片山さつき地方創生担当大臣(59)の疑惑が噴出。特に政治資金をめぐる疑惑は尽きず、収支報告書の訂正は40カ所以上、総額は500万円を超えている。

 そしてまた「週刊文春」の取材によって、新たに2つの疑惑が発覚した。

 1つめは、政治資金の私的流用疑惑。情報公開請求によって入手した片山氏の資金管理団体「山桜会」の領収書によれば、2014年2月、12月の2度にわたって、浜松市内の100円ショップに22890円、10800円を支出している。だが領収書の品目には「きぐるみアザラシバスボール」など10個の入浴剤、「開運だるま貯金箱」など5個の貯金箱、「ヒアルロン酸ウェットティッシュ」や洗顔シートなど28パックといった、政治活動と無関係と思える商品名が列挙されている。

「山桜会」の政治資金収支報告書を確認すると、名目は「消耗品代」「お土産用袋代」として、まとめて記載されていた。

 2つめは、膨大な領収書の不正計上疑惑だ。

 たとえば、2014年の「自民党浜松支部」が発行した6万円の領収書の宛名は、「片山さつき後援会」。つまり、片山氏の政治団体「片山さつき後援会」から「自民党浜松支部」に6万円が支払われたことを示す領収書だ。だが、当の「片山さつき後援会」の収支報告書には記載がない。一方、「山桜会」には6万円の記載があるのだ。

 このように領収書の宛名などに「片山さつき後援会」と記載されているにも関わらず、別の政治団体である「山桜会」に計上されている領収書などは、2014年から2015年にかけて実に約130件、金額にして約550万円にも上る。

 民間の商取引では考えられない経理処理だ。

 政治資金に詳しい神戸学院大学の上脇博之教授はこう指摘する。

「収支報告書記載の根拠となっている領収書の宛先が別の政治団体というのは、政治資金規正法を遵守する気がないと言っていいでしょう。今回のケースは収支報告書の虚偽記載となります。仮に領収書がウソのものだった場合でも、提出すべき領収書を徴収できなかった不徴収ということになり、これも政治資金規正法違反の疑いがあります」

 片山事務所に取材を申し込んだが、代理人の弘中惇一郎弁護士が「貴誌への対応は控えさせていただきます」と回答を拒否した。

 2月16日の確定申告開始を控え、国務大臣である片山氏が、ズサンな経理処理と続けていることは、論議を呼びそうだ。

 11月29日(木)発売の「週刊文春」では、政治資金をめぐる2つの疑惑に加え、片山氏のパワハラ、暴言などについて元秘書らの証言を詳報している。

11月28日 週刊文春 2018年12月6日号
http://bunshun.jp/articles/-/9831