消費増税 「2%値下げ」OK 「消費税還元セール」は×
毎日新聞2018年11月28日 21時16分(最終更新 11月29日 00時58分)
https://mainichi.jp/articles/20181129/k00/00m/020/127000c

政府、価格設定表示のガイドラインまとめる
 政府は28日、来年10月の消費税増税に伴う価格設定の表示に関するガイドラインをまとめた。「10月1日以降2%値下げ」など消費税と関連付けない表示であれば問題ないと明記。増税後の一斉値上げで消費が冷え込んだ前回(2014年4月)の反省から、企業が増税前後に柔軟に価格設定できる環境を整え、増税前の駆け込み需要と増税後の反動減を抑えるのが狙いだ。

 ガイドラインでは、自由な価格設定が認められていることを強調。「便乗値上げ」の抑制は求めつつも、需要増大などを理由とした増税前の値上げなどは認められていることも明記した。
 一方、「消費税還元セール」など消費者に対し税負担がないと誤認させるような表記は引き続き認めない。また、増税前に「今だけお得」と宣伝するのも景品表示法違反の恐れがあると警告した。増税後に国が5%のポイント還元などの経済対策を講じる予定で、「事実と異なる」(消費者庁幹部)可能性があるためという。
 また、大手小売りがセールの原資を確保するため、取引先の中小企業に増税分のコスト負担を強制するのは従来通り厳格に取り締まる方針だ。
 政府は前回増税時、「下請けいじめ」への懸念などから「消費税還元セール」を禁止する特措法を制定した。だがセールが特措法に抵触することを恐れた小売業者が増税日に一斉に値上げした結果、駆け込み需要と大きな反動減を招いたとされる。
 日本の消費税に当たる付加価値税を導入している欧州では、増税の際、どの時期にいくら値上げするかは企業の判断に任せており、増税前後で大きな消費の変動は起きていないという。政府は、今回のガイドラインを企業に周知し、増税前後の柔軟な価格設定を促す。【大久保渉】