カルロス・ゴーン容疑者は19日夕、羽田空港に降り立った直後に身柄を確保されたが、その内幕が関係者への取材で明らかになった。東京地検特捜部は世界を飛び回るゴーン容疑者と、米国在住でめったに日本を訪れない前代表取締役のグレゴリー・ケリー容疑者(62)の“同時確保”に向け、周到に準備していたが、想定外の事態で身柄の確保場所を急遽(きゅうきょ)変更する一幕もあった。

 「どちらかの身柄を先に押さえれば、情報が伝わって、もう一方が(日本の捜査権が及ばない)大使館に駆け込むかもしれない。同時確保が不可欠だった」

 ある検察関係者はこう明かす。特捜部は日産側と調整を重ね、両容疑者が同時に来日するタイミングを密かに狙っていた。

 ゴーン容疑者は19日、幼少期を過ごし、日産側から無償提供を受けている高級住宅があるレバノンの空港から乗り慣れた日産のビジネスジェット機に搭乗した。

 羽田空港に到着したのは午後3時半頃。空港内には特捜部の検事や係官ら十数人が待ち構えており、検事が入国手続きを済ませたゴーン容疑者に近寄った。

 「東京地検特捜部です」

 ゴーン容疑者は、任意同行を求める検事から説明を受けた後、捜査車両に乗り込んだ。その後、係官らがジェット機内を捜索した。

 一方、ケリー容疑者は同日午後3時過ぎ、米国発の航空機で成田空港に到着した。ケリー容疑者は日産側が準備した車に乗り、宿泊予定だった東京都内の外資系ホテルへ向かった。

 「近くのパーキングエリア(PA)で止まってください」。首都高速で渋滞にはまっていた車の運転手に突然、特捜部から連絡が入った。車が品川区の大井PAに入ると、近くの車からスーツ姿の検事らが降りてきてケリー容疑者に任意同行を求めた。

 その後、東京・霞が関の東京地検で両容疑者に逮捕状が執行された。ある検察関係者は「(ケリー容疑者を)ホテルで押さえる段取りだったが、事件の速報が想定より早く流れ、急遽、PAで押さえることにした」と明かした。

2018.11.29 18:1
産経ニュース
https://www.sankei.com/affairs/news/181129/afr1811290029-n1.html