慶応大 ALS患者にパーキンソン病既存薬で治験開始へ
毎日新聞2018年12月3日 00時00分(最終更新 12月3日 00時00分)
https://mainichi.jp/articles/20181203/k00/00m/040/079000c

 慶応大は筋萎縮性側索硬化症(ALS)の治療に、パーキンソン病治療薬を使えるか確かめる臨床試験(治験)を3日に始めると発表した。患者由来のiPS細胞(人工多能性幹細胞)を使い効果が確認されたため、実際に別の患者に投与して安全性や効果を確かめる。動物実験なしでiPS細胞を用いた治験をするのは国内で2例目。

 岡野栄之(ひでゆき)教授(生理学)らのチームで、投与するパーキンソン病治療薬は錠剤のレキップ(ロピニロール塩酸塩)。
 ALSは全身の筋力が徐々に低下し、進行すると呼吸も難しくなる難病で、国内の患者は約1万人とされる。今回の治験対象は発症後5年以内の20〜80歳の20人。進行を抑えるための既存薬に加え、レキップを24週間にわたって1日1回投与、その後は最長で約1年間かけて効果などを判定する。
 ALSは脊髄(せきずい)の運動神経の細胞が少しずつ死んで発症する。iPS細胞を運動神経の細胞に変化させてレキップを試すと、細胞死を抑える効果が確認された。このため進行を遅らせる効果が既存薬より大きいと期待されている。【荒木涼子】