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製造40年前後の国鉄型気動車の更新が急務で、今年から電気式の新型気動車の試験がスタート。ただ、資金難で本格投入は先送りされ、車両不足による減便も懸念されている

JR北海道は、5年間の収支見通しにおいて、国から年200億円の継続支援があると推計した。
青函トンネルや貨物列車の走る函館線や石勝線などの設備改良を進めれば、中期的に修繕費は抑制できて、北海道新幹線など幹線の赤字は大幅に減少するという。

だが、自社単独で維持困難とした13線区1237kmは、将来像が見えてこないと投資することもできない。

国の「維持困難路線」支援の条件

国交省は、今年7月の監督命令で、JR北海道の事業範囲の見直しについて言及した。

まず、利用の極端に少ない路線のバス転換を求めた。札沼線北部区間、石勝線夕張支線、留萌線、根室線富良野―新得間、日高線鵡川―様似間の5路線が対象となろう。
JRの収支見通しでは、バス転換費用と設備撤去費に総額300億円が見積もられた。

一方、JR北海道が自治体に支援を求めた釧網線、石北線、宗谷線北部区間、富良野線など維持困難8路線の扱いが難しい。
2017年度の営業損益は年135億円の赤字(管理費込み)で、今後20年で、トンネルや橋梁などの大規模修繕に167億円、老朽車両の更新のため116両268億円が必要と試算されている。

国交省は、2019年度から2カ年を「第1期集中改革期間」と位置づけた。JRと地域が一体となって各線の利用促進やコスト削減などに取り組み、「目に見える成果」を出すことを求めた。
さらに、5カ年計画の終わる2023年度に、JRと地域の取り組みについて総括的な検証を行い、利用者数など目標数値の達成度合いで抜本的な改善策を考える。

ただ、JR北海道は、5カ年計画の終わる2023年度でも、単体の当期純利益を90億円の赤字(2017年度は109億円の赤字)と試算している。
黒字化のメドを示せないのは、沿線自治体からの財政支援額を「ゼロ円」としたからだ。
道庁や関係市町村が支援を表明しないから赤字が続くのだが、高橋知事は「経営自立ができるとは思えず、とても残念」と他人事のような発言をしたという。

国交省は、今年7月、2019年度と2020年度の総額400億円台の追加支援も発表したが、
その条件として「関係者による支援・協力」と「同水準の支援が行われること」を求めた。2021年度以降の支援は、今後2年間のJRと地元の動きと成果を見て判断するという。

関係自治体に対してJR北海道線を持続させるための「決意」と「努力」を求めた形になるが、地元はただ反発するだけだった。
JR北海道は当座の資金繰りのメドがつかず、老朽化した普通用気動車の更新を当面見送ることになりそうだ。

高橋知事の過去3年の議会や記者会見などでの発言を調べてみたが、JR北海道の問題にあまり関心がないように見受けられる。関係者会議の欠席も多かった。

2017年3月の記者会見では、赤字補填は「国のレベルでも道においても無理」と明言した。
道民に対して、維持困難8路線の存続のため税金を投入することを説明できないという趣旨のようだ。

道内の有権者の4割超は札幌都市圏に住んでいるので廃止の危機感はない。
JRを利用しない人、鉄道のない自治体も多い。メインユーザーである高校生は少子化で半減し、高速道路が充実して中距離移動でもクルマ利用が中心となった。

また、道庁は80年代に道内の1500km以上の国鉄線が廃止対象となったときも、財政難を理由にバス転換へ誘導した。
道出資の北海道ちほく高原鉄道の廃止を決めたときも同様で、当時、高橋知事は「ない袖はふれない」と失言して批判された。