青年将校たちの決起の背景を松本清張は 「 昭和史発掘 ( 8 ) 」の中で次のように書いています。

農村の疲弊は、慢性的に続いていた農業恐慌の上に、更に昭和 6 年と昭和 9 年に大凶作があって深刻化した。
農家は蓄えの米を食い尽くし、欠食児童が増加し、娘の身売りがあいついだ。
農村出身の兵と接触する青年将校が、兵の家庭の貧窮や村の飢饉を知るに及んで軍隊の危機を感じたというのはこれまでくどいくらい書いてきた。

そして青年将校らは考えた。結局独占資本的な財閥が私利私欲を追求するために、こうした社会的な欠陥を招いたとし、
それは政党がこれらの財閥の援助をうけて庇護し、日本の国防を危うくする政策を行っているからだとの結論に達した。