12/7(金) 18:38配信
毎日新聞

 【パリ賀有勇】燃料税増税方針などに抗議する「黄色いベスト」運動によるデモが続くフランスでは、8日もデモが予定されており、仏当局は治安部隊を増強して厳戒態勢を敷く。仏政府は2019年中の燃料税の増税を撤回するなど譲歩しているが、ネット上ではデモへの参加の呼びかけが続くなど、事態収束は見通せない。

 AFP通信によると、警戒を強める仏当局は8日、これまでのデモで激しい衝突が起きたシャンゼリゼ通りを中心にパリだけで3000人の警察官を増強して8000人態勢とし、装甲車も配備する。仏全土では約9万人態勢で警戒に当たる。また、シャンゼリゼ通り周辺のレストランやブティックに対して閉店するよう要請した。エッフェル塔やルーブル美術館も休業するほか、8日に予定されていたサッカーのフランス1部リーグのパリ・サンジェルマンなどの試合も延期される。

 仏政府は5日、前日に決めたばかりの増税の6カ月先送りから更に踏み込み、19年中の増税断念を決めるなど譲歩しているが、マクロン仏大統領が今年1月に実施した富裕税撤廃や年金・社会保障費の負担増などに抗議するデモ参加者もおり、増税撤回がデモ沈静化につながるかは不明だ。

 11月17日からこれまでに行われた計3回の大規模デモでは、暴徒化したデモ参加者が商店などの破壊や放火などを行い、道路が封鎖されるなどして、クリスマス商戦にも影響が出ている。ルメール経済・財務相は3日、デモがあった周辺地域での売上高が外食産業で最大50%、小売業で最大40%減少したと説明。ホテルの予約も最大25%がキャンセルされたことを説明し、「影響は深刻」と述べた。

 一方で、参加者らのシンボルである「黄色いベスト」だけは売り上げを伸ばし、仏BFMテレビによると、需要急増に伴い価格も上昇。11月30日には1カ月前と比較して平均価格が22%も上昇する「特需」の様相を呈している。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181207-00000058-mai-eurp