オリエンタルエアブリッジ(ORC、長崎県大村市)や天草エアライン(AMX、熊本県天草市)、日本エアコミューター(JAC、鹿児島県霧島市)など離島やローカル路線を持つ地域航空5社が、コードシェア(共同運航)や機体整備、パイロット訓練の共同化といった包括的な業務提携を進める方針で合意したことが8日、関係者への取材で分かった。ORC、AMX、JACの九州3社で先行し、2019年度から協業化の準備を始める。業務効率化で収支改善を図るのが狙い。国土交通省の有識者会議が提言した経営統合や合併は当面見送る。

 ORCは全日本空輸(ANA)、AMXは日本航空(JAL)とコードシェアなどで協力し、JACにはJALが出資している。関係者によると、国内外で激しく競争する系列を超えた提携は世界的にも珍しいという。

 5社は九州3社と、ANA系のANAウイングス(東京)、JAL系の北海道エアシステム(札幌市)。いずれも収支の厳しい生活路線を抱える。

 有識者会議は、人口減少で将来的に存続が危ぶまれる路線の維持策を検討するため、国交省が16年に設置。会議は今年3月、「合併か持ち株会社の設立による経営統合を模索すべきだ」とする報告をまとめた。

 これを受け、5社とANA、JAL、国交省が実務者協議を設置し、合併や経営統合を含めた具体策を議論していた。

 関係者によると、実務者協議は合併や経営統合について、系列や各社の収支状況の違い、地域性が薄れることを懸念する地元自治体の反発などから、当面は困難と判断。将来の課題とすることで合意した。

 一方で、コードシェアに向けたANA系とJAL系双方のシステム改修や、乗り継ぎを容易にするための空港搭乗口の変更、機種統一による整備の共同化、操縦訓練用シミュレーターの共同使用に関し、必要経費の調査などを始めることで一致。系列を超えたマイレージの利用や旅行商品の開発で既に協力する九州3社で先行することにした。

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【ワードBOX】地域航空会社

 客席数30〜70程度のプロペラ機を中心に、離島や地方の航空路線を運航。著しい人口減少の影響で離島路線は収支が悪化。大手航空会社や地元自治体からの出資、運航費や機体購入費への国庫補助を受けている。保有機が少ないため、故障や定期点検で欠航が発生しやすいほか、パイロットや整備士の確保、養成も課題となっている。

=2018/12/09付 西日本新聞朝刊=


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