塩谷町地域おこし協力隊員の4人全員が、任期途中の12月末で退任することが11日、分かった。協力隊に関する業務を担当する町職員(31)に、一部隊員に対して嫌がらせと取られかねない不適切な行為があった。町も内容を把握しており、今後調査を行い、職員の処分を検討する。

 見形和久(みかたかずひさ)町長は下野新聞社の取材に対し「懲罰委員会で検討することになるような件だと思う。事実関係を確認し、職員を十分指導していく」とコメントした。

 関係者によると、この職員は町企画調整課の男性主事。隊員をやゆする文言を記した業務と関係のないカードのようなものを、町役場内のコピー機を使うなどして作成した。個人情報に関わる部分も含まれていた。職員は町の聞き取りに対し「内輪ねたのつもりで作ってしまった。軽率だった」と話した。

 また、この職員が「協力隊なんか辞めたら」「早く出て行け」といった趣旨の発言を別の隊員にしていたとの指摘もある。パワハラの可能性もあり、町は今後、詳細な経緯や事実関係を確認するとしている。

 町は10月中旬、4人に今後の活動方針や2019年4月以降の委嘱について意向を確認。1人はすぐに退任の意向を示し、その後、残る3人も町を離れる気持ちを固めた。それぞれ、民間会社への就職や健康問題、隊員とは別の立場で町に関わりたいなどの理由を挙げたという。

 地域おこし協力隊は、若者の地方移住などを目的として2009年度にスタートした国の事業。隊員が都市部から過疎地域に一定期間移り住み、活性化に取り組む。国が1人あたり400万円を自治体に交付。塩谷町は独自に100万円を上乗せし、隊員の給与や家賃、活動費に充てられている。

 町は県内外から人材を登用することで地域活性化を図ろうと、2016年度から同隊員を委嘱している。4人は23〜25歳の男女各2人で、任期予定は1〜3年程度。男性2人は2年目で、女性2人はことし4月に委嘱された。廃校を活用した子ども向け広場の設置やドライブイベントの企画、フォトブック制作などの活動を展開していた。

12/12 9:01
下野新聞
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