A消費税が導入された1989年度の税収と2016年度の税収を比較すると、消費税増税の目的が鮮明に浮かび上がる。

国税収入規模は1989年度が54.9兆円、2016年度が55.5兆円でほぼ同額である。

変化したのは税収構成である。

所得税 21.4兆円 → 17.6兆円
法人税 19.0兆円 → 10.3兆円
消費税  3.3兆円 → 17.2兆円

すなわち、

法人税=9兆円減少、
所得税=4兆円減少、
消費税=14兆円増加

という変化が生じただけなのだ。

消費税増税は財政再建と社会保障制度維持のために実施されてきたとの説明がなされることが多いが、税収推移の現実は、この説明が事実と異なることを明確に物語っている。

日本の税制改定の実態は、法人税減税と所得税減税を実施するために消費税増税が実行してきたというものなのである。

消費税増税を実施すれば、日本経済は極めて深刻な不況に転落することになるだろう。

また、安易な増税を実施することにより、本当に必要な財政改革は何も行われないことになる。

そもそも、「シロアリ退治なき消費税増税はおかしい」という話はどこに行ってしまったのか。

消費税増税の即時中止決定が求められている。

2009年7月14日、および2009年8月15日の野田佳彦氏演説をいまもネット上で確認することができる。

1.2009年7月14日野田佳彦氏衆院本会議討論演説

2.2009年8月15日野田佳彦氏街頭演説

野田氏は、演説1で次のように述べている。

「私どもの調査によって、ことしの五月に、平成十九年度のお金の使い方でわかったことがあります。
二万五千人の国家公務員OBが四千五百の法人に天下りをし、その四千五百法人に十二兆一千億円の血税が流れていることがわかりました。
その前の年には、十二兆六千億円の血税が流れていることがわかりました。消費税五%分のお金です。これだけの税金に、一言で言えば、シロアリが群がっている構図があるんです。
そのシロアリを退治して、働きアリの政治を実現しなければならないのです。

天下りをなくし、わたりをなくしていくという国民の声に全くこたえない麻生政権は、不信任に値します。」

野田氏は、演説2で次のように述べている。

「天下りを許さないわたりを許さない。それを徹底してゆきたいと思います。

消費税1%分は二兆五千億円です。十二兆六千億円ということは、消費税5%ということです。消費税5%分の皆さんの税金に、天下り法人がぶら下がっている。
シロアリがたかっているんです。それなのに、シロアリを退治しないで、今度は消費税引き上げるんですか?

鳩山さんが四年間消費税を引き上げないと言ったのは、そこなんです。シロアリを退治して、天下り法人をなくして、天下りをなくす。そこから始めなければ、消費税を引き上げる話はおかしいんです。」