https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181217-00010000-tokai-soci

■過熱するふるさと納税獲得競争

霜降りの牛肉に、新鮮な野菜、名産のお酒…。全て、ふるさと納税の「お礼の品」です。

来場者の女性:「毎年やってます。食べ物系、季節のものとか」

同・男性:「3割といわず4割5割、地域の良さを出してほしい」

ふるさと納税が集中する年末、市町村はPRに声を枯らしますが、そのウラで取り交わされていたものが…。

(記者リポート)
「これらは、ふるさと納税を仲介する業者が市町村に営業をかける際に使うセールス資料です。
様々な費用の名目で10%、12%と、私たちが寄附したお金には、知られていない行き先があるようです」

■競争で落ち込んだ寄附額がサイトでV字回復

愛知県幸田町、この町の「お礼の品の目玉」は、『エアウィーヴ』。「一流アスリートも愛用」との触れ込みで大人気の寝具で、幸田町に工場があります。

ふるさと納税争奪合戦の舞台裏はどうなっているのでしょうか。

幸田町・山本秀幸総務課長:
「総額16億6700万円の寄附を全国からいただいています。こちらのマットレスパッド、あと枕が非常に人気があって、寄付の98%がエアウィーヴの返礼品の希望です」

このエアウィーヴを武器に、集めたのが愛知県内でナンバーワン、16億円のふるさと納税。実に、予算の1割を大きく上回るお金が、人口4万人の町に。

ところが、この春からは、寄附のペースが3割ほど落ち込みました。

山本課長:「他の自治体にもエアウィーヴさんの工場があって、同じ返礼品、同じ寄附金額、幸田町だけじゃなくなってくる。
そういったことを考えるとポータルサイトを増やすしかないのかなと、一つの方策ですね」

ふるさと納税に欠かせないのが、インターネットのポータルサイト。各市町村の「お礼の品」を見比べ、クレジットカードで決済できる便利さは、まるで通販サイトのよう。

老舗の「ふるさとチョイス」。通販でおなじみ「楽天」や、ソフトバンク系の「さとふる」など、その数はいまや10をゆうに超えます。

幸田町は、「楽天」(2016年〜)と「ふるさとチョイス」(2017年〜)の2つを利用していましたが、今年度新たに5つのサイトと契約。落ち込んだ寄附がV字回復しました。

■市町村のPRはまさに「金しだい」の状況

激しい競争の中、ふるさと納税の「勝ち組」が頼ったポータルサイト。しかし、そのサービスはタダ…ではありません。

見せてくれたのは、ある月の楽天からの請求書。請求額は475万円です。

幸田町の担当者:「そうですね、ここが5%…。ポイントはこれです」

幸田町によると、サイトとの契約は、寄附の金額に応じて10%程度の手数料を支払う形が多く、昨年度は2社あわせ、1億7千万円あまりを支払いました。
これはサイトを通して受けた寄附額の11.1%に当たります。

ただ、市町村がポータルサイトに支払うのは、この「手数料」だけではありません。

炭火で丁寧に焼き上げる、三河一色産ウナギ。みりんなどの醸造が昔から盛んな愛知県碧南市は、うなぎのかば焼きを「お礼の品」としてプッシュ。
幸田町に次いで、ふるさと納税県内2位、ですが…。

(記者リポート)
「これは、ポータルサイトの会員に送られてくる、ふるさと納税を案内するメールです。たくさんある市町村の中から、6つだけがピックアップされていて、
碧南市も大きく紹介されています」

一部の市や町への寄附を特別に呼びかけるメールマガジン。実は、市町村がお金を出して買っている「広告」です。