地域住民が無料や安い値段で食事を提供する子ども食堂を支援する自治体が都市部で増えている。内閣府の調査によると、全国の政令市と東京23区計43自治体のうち4割の17で補助金を設けていた。4自治体は今年度から開始しており、都市部に多い貧困層の対策として子ども食堂を活用しようとする自治体の期待が浮き彫りになった。

 内閣府は全国約1800の全自治体を対象に地域での子どもの居場所作りについて調査した。このうち子ども食堂支援は94自治体が取り組んでいた。政令市はさいたま市や北九州市など11、東京23区は新宿区や北区など6、都道府県が東京都や滋賀県など16だった。予算総額は約5億7000万円。

 東京都荒川区は生活困窮世帯や一人親家庭の子どもらを対象にした食堂に開催1回ごとに7000円の補助をしている。堺市は炊飯器や食器など開設のための補助金(上限20万円)を設け、必要に応じて子どもを専門の支援機関につなげるよう求めていた。

 自治体ごとの特色もあり、奈良県は県産食材の購入費に対する補助とし、食育にも力を入れる。和歌山県橋本市は要件を満たした団体を「橋本こども食堂」と認定し、公民館使用料を免除している。また愛知県では質の高い運営をしている補助対象の食堂をモデルと位置づけて、そのノウハウを聞き取り調査。他の団体が参考にできるガイドブックの作製につなげる。

 一方で現実のギャップもある。京都府は補助金支給要件に相談対応を含め、虐待発見時の通報などを期待している。しかし団体側には「安易な個人情報提供につなげたくない」と戸惑いがある。府の担当者は「柔軟に対応してほしい。緩やかな関係を作りたい」と話すなど、連携は手探りだ。【熊谷豪】

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