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マティス国防長官2月退任 米軍のシリア撤退で対立
2018年12月21日 7:26 (2018年12月21日 8:02 更新)

【ワシントン=永沢毅】トランプ米大統領は20日、マティス国防長官が2019年2月末に退任するとツイッターで発表した。国際協調を重んじ現実主義的な外交・安全保障政策を唱えるマティス氏が去ることで、政権の強硬色に拍車がかかる可能性がある。同盟国との関係にも影響を与えそうだ。

後任は近く発表するとしている。トランプ氏は「国防長官として2年間の任期中、素晴らしい進展があった。献身に感謝したい」と表明。「同盟国に軍事的な負担を共有させることに大いに助けになってくれた」と強調した。

一方、マティス氏はトランプ氏宛ての書簡を公表した。そのなかで「強力な同盟関係の維持や、彼らへの敬意をなくして国益を守ることはできない」と表明。「あなたは自身の考えにより合った国防長官を選ぶ権利がある。私はいまの立場から退くのが正しいと信じる」と明らかにし、外交・安保政策を巡る見解の相違が退任の理由との考えを示した。

マティス氏はトランプ氏が19日に表明したシリアからの米軍撤退は拙速だとして、反対の立場を表明していた。アフガニスタンの米軍駐留を巡っても、早期の撤収を求めるトランプ氏と維持を唱えるマティス氏は対立を深めていた。

トランプ政権はマティス氏に近い考えを持っていたティラーソン前国務長官やマクマスター大統領補佐官(国家安全保障担当)ら現実的な外交政策を志向する幹部が相次ぎ政権を去った。代わって政権入りしたボルトン大統領補佐官に代表されるタカ派の幹部が政策決定の主導権を握るようになっている。