不振が続いていた幸楽苑ホールディングス(HD)が、近ごろ絶好調だ。
11月の国内直営店の既存店売上高は、前年同月比3.5%増だった。客数が大きく伸びたことが影響した。
増収は2カ月連続となる。それまでの1〜9月は9カ月連続となる前年割れとなっていたが、ここにきて2カ月連続で前年を上回ったというのは大きい。
また、全店売上高では11月が7.4%増、10月が6.9%増と大きく伸びている。
幸楽苑はどうやら、復活しつつあるようだ。

 直近の決算も好調だ。
10月26日発表の2018年4〜9月期連結決算は、売上高が前年同期比3.1%増の202億円、最終損益は7億円の黒字(前年同期は6億円の赤字)だった。
商品力を高めたことや、不振に陥ったラーメン店「幸楽苑」を、勢いがあるステーキ店「いきなり!ステーキ」に業態転換を進めたことなどが奏功した。

 
幸楽苑は苦戦が続いていた。競争の激化や経営戦略のミスに加え、16年10月に異物混入問題が発覚し、以降、厳しい状況が続くようになった。
この異物混入問題は、ラーメンに従業員の切断された指の一部が混入していたというものだが、これにより客離れが起きた。
翌11月の既存店売上高は前年同月比15.6%減と大きく減少、それ以降も前年割れが続くようになった。

 
厳しい状況を受け、昨年11月10日に同年4〜9月期の連結決算の最終損益が同期間として初となる赤字に転落したことを発表。
合わせて全店の1割弱にあたる52店を閉鎖し、経営改革を断行する考えを示した。
しかし、既存店売上高はすぐには好転することはなかった。
そして、18年3月期は最終赤字に陥ってしまった。赤字額は32億円にもなった。

 
幸楽苑は地方のロードサイドを中心に出店を進めてきたが、人々の都心回帰が進み地方経済が低迷するにつれて、幸楽苑は次第に集客に苦戦するようになった。
また、テーブル席が多いのが特徴だが、4人席に2人が座るなどで席の遊休が生じやすく、コスト効率が低いという構造的な問題も抱えていた。

 
そこで幸楽苑は、客席数が従来より4割少ない35席程度のコンパクト型の店舗フォーマットを開発。
当面の新規出店は原則、このコンパクト型で行う方針を打ち出した。
これにより、効率的で無駄が少ない店舗の出店が可能となった。また、集客が見込めるショッピングセンター内のフードコートへの出店を強化する方針も打ち出し、
ロードサイド立地偏重からの脱却を図った。

「味の改革」が奏功
 商品力の欠如という問題も抱えていた。
看板商品だった290円(税抜き、以下同)の「中華そば」を15年5月に販売を終了させ、
代わりに高単価の新しい醤油ラーメン司(520円)を販売するなどしたが、人気があった290円中華そばの穴を埋めるまでにはいたらなかった。
原材料費が高騰していたため高単価のラーメンへのシフトを図ったのだが、節約志向を強める消費者に受け入れられなかった。

 
味が大して向上していないなかでの高価格帯への移行だったため、消費者に受け入れられなかったのは当然のことだった。
そこで幸楽苑は経営改革の一環として「味の改革」を打ち出し、味の向上を図った。

 

https://biz-journal.jp/2018/12/post_25977.html
2018.12.20