「特別背任は、図利加害目的(自分か第三者の利益を図る目的で会社に損害を与えること)を客観的な事実と証拠で証明しなければならず、
その立証は極めて難しい。

日産に実害が発生していたことは事実だとしても、それだけで有罪にはできない。

いずれにしても、有価証券報告書の虚偽記載という形式犯で巨大企業のトップを逮捕し、
同じ形式犯の容疑で再逮捕するなどということは、特捜部の捜査としてそもそも『異例中の異例』なのであって、
裁判所が『異例中の異例』で保釈延長の申請を却下したのは、当然のことです」


「今回の事件の背景には、明らかに日産とルノーの対立がある。
ゴーン氏に不正があるのならば、西川社長が指揮して社内で調査をし、その結果を発表するなどして、会社として責任追及すべき事案だったのではないか。


その私企業の権力闘争に特捜部が割って入り、一方の日産のお先棒を担ぐ形で司法取引までして事件化した。
公益の代表であるはずの検察として、とりわけ甚大な影響力を持つ特捜部の捜査手法として、いかがなものなのか。
特捜部の一時代を築いた吉永祐介氏であれば、こうした捜査自体を許さなかったと思う」