海外渡航中に時効が止まらんのは比較的新しい最高裁判例がある
これがひっくりかえることはないだろう

朝日新聞 2009年10月23日

刑事事件の時効について「犯人が国外にいる場合は進行を停止する」と定めた刑事訴訟法の規定をめぐり、
最高裁第一小法廷(桜井龍子裁判長)は「一時的な海外渡航でも適用される」という初判断を示した。
これまでは、短期間の旅行のような場合はカウントされないという学説が有力だったが、最高裁が逆の立場を採用する形となった。

判断は、土地購入をめぐって99年に知人女性から約3300万円をだまし取ったとして、
07年に詐欺罪で起訴された高知県の男性(57)=一、二審で実刑=の上告を棄却した20日付の決定で示された。
詐欺罪の時効は7年だが、検察側は男性が犯行から起訴までの7年10カ月余りの間に数日間の海外渡航を56回繰り返し、
計324日を「国外」で過ごしていたため、この期間を除くと時効が完成していないとしていた。

弁護側は上告審で「国外にいる場合に時効を停止するのは、起訴状を送達することが困難なためだ」という学説を引用し、
「一時的な海外旅行の場合はすぐに帰国し、起訴状を受け取ることができるため、時効の停止を認めるべきでない」と主張した。
しかし、第一小法廷は「国外にいる間は、一時的な渡航による場合でも、時効の進行を停止する」と判断し、起訴が適法だったと結論づけた。