https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20181223-00000001-pseven-cn

 中国農業農村部(日本の農林水産省に相当)は12月初旬までに、「約740万人の農民工が都市部から地元に戻った」と発表した。農民工とは、農村から都市部に出稼ぎに出る人々のことだ。同部は「起業のため」と理由を説明しているが、事実上の失業が原因だとみられる。

 中国の農民工は昨年末現在、前年比1.7%増の2億8652万人。中国の景気冷え込みが深刻化していることがうかがえるが、中国では2018年、これ以外にもすでに200万人が失業していることが分かっており、計約1000万人が失業の憂き目を見たことになる。

 香港紙「経済日報」は失業者の急増について「第1の原因は米中貿易戦争の影響だ」と指摘。外資企業や中国企業が次々と、生産拠点を中国から他国に移転しており、中国内の求人数は激減しているという。第2に、中国当局が最近掲げた「国進民退(国有経済の増強と民有経済の縮小)」政策も、失業者の急増に大きく関係しているというのだ。

 これを裏付けるように、中国では2018年に入って雇用低迷に関する報道が増えている。経済専門華字サイト「財新網」(11月28日付)は「国内雇用低迷のため202万件の求人広告が消えた」と報じている。

 ポータルサイト「網易」(10月22日付)も「今年上半期で、中国内の504万社が倒産、失業者数が200万人超となった」と伝えている。

 しかし、両サイトの記事は当局にとって都合が悪かったのか、掲載の数時間後にはサイトから消えてしまった。中国当局が失業者の急増によって社会的不安が急速に広がると危惧して、情報統制を強めたとみられる。

 一方、中国求職情報サイト「智聯招聘」が10月23日に発表した統計によると、2018年7〜9月期の求職申請者数は4〜6月期と比べて、24.37%減少し、企業側の求人数は同20.79%縮小した。また、7〜9月期のIT関連企業の採用者数は前年同期比51%減となった。

 中国メディアは10月、中国電子商最大手のアリババ集団や京東、通信大手の華為(ファーウェイ)などの大企業は人員削減を計画していると相次いで報じており、中国の雇用および国内経済が非常に厳しい局面に入っていることを示している。

 中国共産党中央政治局は7月31日、経済政策をテーマにした会議を開催し、中国経済の情勢は「安定の中に変化があり、いくつの新たな問題や試練に直面している」などと結論づけており、今年に入って失業者数が急増していることを裏付けている。