無料通信アプリを手がける「LINE」(ライン、東京)が京都市に設置した新たな開発拠点の採用に、外国人の応募が殺到した。

 応募者1千人中、約8割が海外からの申し込みだったという。なぜ、海外からの関心が集中したのか。背景には、世界でも高い知名度を誇る京都ならではの事情があるようだ。(浜川太一)

 京都市中心街に建つ雑居ビルの一室。しゃれたカフェのようなオフィス内では、私服姿の外国人技術者らが英語で会話を交わしながらパソコンに向かっていた。

 ライン京都オフィスは、人工知能(AI)などの先端技術を取り入れたサービスの開発を目指し、東京、福岡に次いで6月に同社が開設した国内3つ目の拠点。勤務する技術者ら19人のうち半数は外国人で、出身地もフランス、スイス、英国、米国、中国、台湾−と多様だ。

 「京都は国際的にも有名な場所。優秀な海外の技術者が日本で働くきっかけになると思った」。同社京都開発室の御代田亮平さん(35)は京都に進出した狙いをこう話す。

 実際、採用された技術者たちも京都という街にひかれて応募した人が多い。メキシコ出身のカルロス・ペレスギテレスさん(30)は「海外で働くのが夢で、中でも京都は魅力的だった」とし、「寺院が立ち並ぶ京都の街を歩いていると、いろいろなアイデアが浮かんでくる」と話す。台湾出身の陳(チェン)●(=日の下に立)(ユー)丞(チャン)さん(31)も、「古さと新しさを兼ね備えた街。挑戦には適した街だ」と笑顔を見せた。

 10月に米の有力旅行誌「コンデナスト・トラベラー」が発表した「魅力的な世界の大都市ランキング」(米国を除く)では、京都は首位の東京に次ぎ、2位にランクイン。寺社が立ち並ぶ伝統面に加え、近年は作家や芸術家が多く移り住んでいる新たな側面が評価された。

 学生数や研究機関の多さも、ラインが京都に進出した理由の一つだ。文部科学省の平成28年度調査によると、京都市(人口約147万人)の学生数は過去最多の約14万7千人。全国20政令指定都市中1位で、実に人口の1割が学生という環境だ。

 京都オフィスでは3年後、技術者100人体制を目指しているといい、御代田さんは、「優秀な学生も採用しながら、京都の街全体を実験台にして、さまざまな挑戦をしたい」と話した。

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