海上保安庁の燃料入札「100%落札」半数以上 入札形骸化か
2018年12月27日 19時06分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20181227/k10011761861000.html

海上保安庁の巡視船などに使われる燃料の一般競争入札で、去年までの2年間、非公開の予定価格と全く同じ金額で落札される「100%落札」が全体の半数以上に上っていたことが、NHKの取材で分かりました。専門家は、落札する業者が事実上決まっていて、入札が形骸化している可能性があると指摘しています。
海上保安庁は、巡視船や巡視艇の燃料に使われる重油や軽油の納入業者を、全国の海上保安本部ごとに一般競争入札で決めています。

NHKが平成28年から29年にかけて行われた606件の入札を調べたところ、非公開の予定価格と全く同じ金額で落札される「100%落札」が全体の51%に当たる307件に上っていたことが分かりました。

「100%落札」の割合が最も高かったのは、新潟県や石川県などを管轄する第9管区海上保安本部で43件の入札のうち91%にあたる39件、次いで、東北地方を管轄する第2管区で40件のうち88%にあたる35件、北海道を管轄する第1管区で117件のうち87%にあたる102件に上っていました。

一方、九州北部と山口県を管轄する第7管区は140件のうち2件と1%程度、沖縄県を管轄する第11管区は30件のうち1件と3%程度で、地域によって大きな差が生じています。

公正取引委員会の元調査官、鈴木満弁護士は「競争相手がいないことが分かっていないと100%で落札はできない。業者が予定価格を把握していなければ起こりえない」と話し、入札が形骸化している可能性があると指摘しています。

海上保安庁は「過去の入札などを参考に、業者が予定価格を推測することはできると思うが、100%落札が多いことは事実なので、何らかの分析をしたい」としています。