2018年12月30日 7時0分
日本農業新聞

 牛・豚肉など食肉全体の2018年の輸入量が過去最多ペースで推移するなど、海外からの攻勢が強まっている。30日には、米国を除く11カ国による環太平洋連携協定(TPP11)が発効する。食肉やブドウといった果実などで関税が撤廃・大幅削減され、市場開放がさらに進む。安価な輸入品がこれまで以上に国内市場へ流入する恐れが強い。

 財務省の貿易統計によると今年11月までの食肉(牛・豚・鶏肉)輸入量は192万トン。統計がある1988年以降で最も多かった17年の同期を1%上回る。17年は通年で200万トンの大台を超えたが、今年も匹敵するペースだ。食肉輸入は、26年間で倍増している。

 牛肉は6%増の56万トン。輸入の過半を占めるのがオーストラリア産で、29万トンと9%増えた。東京都内の輸入業者は「スーパーやレストランからステーキ向けの注文が増えた」と話す。米国産は3%増の23万トン。豚肉は0・3%増の85万トン。11月までの累計では2年連続で最多を更新した。

 果実は、TPP11加盟国からの輸入が増えている。最も多いのがキウイフルーツで、18年1〜11月の輸入量は、10万4949トンと前年同月比14%増。9割強をニュージーランド産が占め、「高糖度のゴールド系品種が支持され、過去最高ペースで輸入が増えている」(市場関係者)。

 ブドウは北半球と南半球の産地を組み合わせ、周年で販売されるのが強みとなり、16%増の3万4205トン。オーストラリア産とチリ産が6割を占めた。

 発効後の影響について、輸入業者は「TPP11加盟国からの輸入量が既に高水準にある。関税削減・撤廃を機にさらに売り込みが強まる」とみる。

http://news.livedoor.com/lite/article_detail/15811151/