「でもね、今度の事件は金銭的なことが原因じゃないとオレは思うのよ。
実は事件の4〜5か月前に、拳士郎がうちの次女、つまり仁美の実の妹と肉体関係を持ってさ。
次女は軽度の知的障害者でね。見た目や話したぐらいではわからないけど、字を書かせたらわかるんだ。書けないから。
2人が同時に淋病になったので、仁美が不審に思って2人に問いただしたところ、2人とも白状したって。
継続的なものではなくて1回きりだと。それも拳士郎が1人でいたところへ次女が遊びに来たときに誘ったみたいで。
もともとアイツは浮気者なのよ。結婚してからも。それを仁美はずっとオレに隠していたんだ。
精神的に不安定なのでおかしいと思って強引に口を割らせたら、ようやく話してくれたわけよ。
そんな娘の気持ちもわかってあげてほしい。旦那が自分の妹に手を出したんだから」
父親は生活保護を受けながら暮らしている。体調が思わしくない状況を仁美容疑者は知っている。
オレがこんな具合だから父親にも助けを求められず、母親にも、友達にも、誰にも話せず、ひとりで悶々としていたんだろう。かわいそうに(涙)。きちんと子育てできる心境じゃなかったんだろうね。