「法務省管轄支局」など公的機関を装ったはがきを郵送し、訴訟をちらつかせて金をだまし取ろうとする架空請求が神奈川県内で急増している。
2018年度上半期だけで8355件の相談が県内の消費生活センターなどに寄せられた。

前年度同期の1518件と比べると約5.5倍も増加し、県は「このようなはがきが届いても絶対に連絡先に電話せず、消費生活センターに相談してほしい」と注意喚起している。

架空請求が疑われるはがきには、「あなたが利用していた契約会社から契約不履行で民事訴訟の訴状が提出された」「このまま連絡がない場合、原告側の主張が全面的に受理される」「預金や不動産の差し押さえを強制的に行う」など、相手を畏怖(いふ)させる言葉が並ぶ。
はがきに書かれている電話番号に問い合わせると、取り下げ料や弁護士費用名目で金銭の支払いを要求される。

県によると、これまでは口座凍結を防ぐため、10万〜30万円分ほどのプリペイドカード型電子マネーをコンビニエンスストアで購入させる手口が多かった。しかし最近は「示談金」などと称していきなり100万円以上を要求し、宅配便で現金を送付させる手口に変化したという。

相談者は前年同様、60代女性が最も多い。その上、70〜80代以上の女性からの相談も増えている。
18年度上半期に実際にお金を支払ってしまった件数は24件だったが、支払った平均金額は約70万円で、前年度同期の2・5倍となった。
県は、はがきの新たなパターンが出るたび、県のホームページ上で「架空請求ハガキを送りつけてくる事業者名一覧」を掲載し、注意を呼びかけている。

県内の消費生活センターで18年度上半期に受け付けた苦情相談は3万8217件で前年度同期比22.4%増となった。このうち4割以上が65歳以上の高齢者だった。

架空請求はがきの相談が激増したのに加え、インターネットで副業や投資といった高額収入を得るノウハウを販売する「情報商材」に関する相談も前年度比1.6倍の389件と増えている。
情報商材は20代、40〜50代の相談が多く、「必ずもうかる方法を教える」などと伝え、最初は安く購入させ、さらに特別な情報があると勧誘し、次々と高額な契約を増やしていく手口となっている。
県は「消費者ホットライン」(188)で相談を受け付けている。【国本愛】

毎日新聞 2019年1月7日 8時42分(最終更新 1月7日 10時37分)
https://mainichi.jp/articles/20190107/k00/00m/040/048000c