中国系の商店が集まるJR池袋駅(東京都豊島区)の北口周辺を「東京中華街」としてPRする構想が打ち出されてから10年あまり。当初は地元の反発もあったが、中国人が駅前のごみ拾いをしたり、災害支援の募金活動をしたりと、少しずつ交流を進めてきた。豊島区は2月に始まる日中韓3都市のイベント「東アジア文化都市」の舞台に選ばれ、交流の進展に期待がかかる。【奥山はるな】


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 池袋は1980年代以降に来日した「新華僑」が多く住み、中国系の食料品店や携帯電話ショップが建ち並ぶ。北京五輪が開かれた2008年夏、これら約50店の店主らが「横浜にも負けないチャイナタウンとして、池袋をPRしよう」と結束し「東京中華街促進会」を設立した。

 ところが、古くからの地元商店主からは「町会にも入っていない人たちに、いきなり『中華街』と言われても困る」と戸惑いの声が上がった。09年秋には、構想に反対する人々が日の丸を掲げて中国系商店に押し寄せ、店員に水をかけるなどのトラブルが発生した。

 同会の理事長を務める胡逸飛さん(56)は「池袋を良くしたいと思って提案したのに、驚かせてしまった」と振り返る。

 胡さんは30年前に上海から留学生として来日し、大手広告会社に勤めた。娘が生まれた時には近所の日本人女性が親身に世話をしてくれた。「日本に恩返しをしたい」という気持ちがあった。

 そこで、地元商店主らが行っている駅前のごみ拾いに中国系商店の店員を参加させ、草の根の交流を始めることにした。16年4月に熊本地震が起きると、チャリティーコンサートを開いて義援金を集め、日本赤十字社を通じて寄付した。

 胡さんの友人で、タウン誌「豊島の選択」を発行する小林俊史さん(51)は「この10年で、徐々に顔なじみの関係ができてきた。最近は中国からの観光客が増えており、今年の『東アジア文化都市』のイベントにも多くの人が集まってくれるのでは」と期待している。

毎日新聞 2019年1月7日 08時39分(最終更新 1月7日 11時13分)
https://mainichi.jp/articles/20190107/k00/00m/040/046000c