ゴーン前会長 意見陳述の内容
2019年1月8日 12時31分

カルロス・ゴーン前会長が意見陳述で通訳を介して発言した内容です。

裁判官に発言の機会を与えてもらい感謝している。捜査機関からかけられている容疑がいわれのないものだということを明らかにしたい。
はじめに、日産に心からの親愛と感謝の気持ちを持っている。日産のために、全力を尽くし、公明正大かつ合法的に社内の所管部署の承認を得たうえで、
業務を進めてきた。日産の地位を回復することをひたすら目指してきた。
為替スワップ契約
私にかけられている容疑について説明する。為替スワップ契約について。約20年前に日産に入り、米ドルの報酬を要請したが、
できないと言われ、日本円で支払う契約を結ばされた。

私はドル建ての生活を基本にしている。子どもは米国に住んでいる。私自身はレバノンとの強い結びつきを持っていて、
ドルは変動しないようにしたいと考えていた。そこで私は日産に入ってしばらくしてから2002年以降、スワップ契約を締結した。

今回の容疑は2つある。一つは2006年に締結したもの。当時、日産の株価は1500円、日本円とドルは118円のレートだった。
2007年は日産の株価は1400円で日本円とドルは114円だった。
ところが2008年の金融危機で2008年10月に日産の株価は900円、2009年には250円にまで急落した。
日本円とドルも80円にまで急落した。私がスワップ契約を締結していた銀行からは担保をただちに差し入れるよう求められたが、
私自身は答えることができなかった。その後、為替スワップ契約を私に戻すまでの間に日産に損害を与えてはいない。
実業家について
ジュファリ(不正な支出先とされるサウジアラビア人実業家)について。長年日産のパートナーであり支援者だった。

日産が困難な状況にあるなかで資金調達や代理店の紛争解決、湾岸地域での日産の再編成、競合他社に競り勝つようにしてくれた。
また、日産のサウジでの工場建設や、サウジ政府とのハイレベルな面談をセットしてくれた。

これらのことから日産の関係部署と相談して相当の金額の対価を支払った。
金融商品取引法違反の容疑について
金融商品取引法について。日産のCEOを務めていた私は、GMやフォードなど4社から招聘を受けていた。
オバマ政権当時、相当な高額報酬を提示されたが、ほかの会社に移ることはなかった。日産は非常に大事な日本の会社だからだ。

ほかの自動車メーカーに移ることはしなかったが、報奨金額については記録をつけていくことにした。
それはベンチマークであり、法的拘束力があるものではない。検察による訴追は全くのあやまりだ。

退職後の提案、ドラフトについては、社外弁護士に承認されていると理解していた。
私に金融商品取引法違反の認識がなかったことは理解してもらえると思う。答えは明白にノーだ。
「これまで不正をしたことはない」
私は20年間、日産の復活とアライアンスを行った。昼夜問わず飛行機の中でも日産の従業員と肩を並べながらやった。
1999年には2兆円だった負債がその後1.8兆円の現預金に。1999年の250万台から2016年には580万台となり利益も出た。
この間、日産の資産規模は3倍になった。GTーRなども復活させた。ブラジルなどにも進出した。
電気自動車も。三菱自動車ともアライアンスをして世界第一になった。無数の雇用も創出し、これらの成果は私にとって家族の次の喜びだ。

わたしは無実だ。常に誠実にやってきた。これまで不正をしたことはない。根拠もなく容疑をかけられ不当に勾留されている。