日産自動車がコネクッテドカーの新たな定義を打ち出す。8日(日本時間9日)から開かれる家電・IT見本市「CES」で、自動車内で仮想空間を可視化する「インビジブル・ツー・ビジブル(I2V)」技術を披露する。5―10年後の実現を視野に、協業先を募る方針だ。

 I2Vは「メタバース」と呼ぶ仮想世界と車をつなぎ、車内外のセンサーで集めたデータとクラウド上のデータを統合し、人の目には見えないものを可視化する技術。数百メートル先の人物や障害物の後ろにある車などを、装着したAR(拡張現実)ゴーグルに表現する。

 I2Vを使えば、インターネット空間などで自らの分身として存在するキャラクター「アバター」などを車内に再現できる。例えばプロドライバーのアバターが助手席に座って運転指導をしたり、アイドルのアバターと一緒にドライブしたりすることができる。総合研究所の土井三浩所長は「車の利用を豊かにするためのプラットフォームにしたい」と語る。

 中核を担うのは、現実世界のモノや人を仮想空間上に表現する「デジタルツイン」技術。従来のデジタルツインは、車内の閉じた環境で運転に関わる情報をARで表現するだけだった。

 同研究所の上田哲郎エキスパートリーダーは「今回はこれを外に広げ、他の車や人のデジタルツインと融合することになる」とし、「コネクテッドカー(つながる車)の次を担う『メタバース・コネクティビティー』を最初に打ち出したメーカーになりたい」と意気込む。

 アバターを活用した課金型サービスや、車で収集したデータを仮想空間上に提供するといったビジネスモデルを視野に入れる。


アバターとドライブも。日産が見せた新しい“つながるクルマ”
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