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 「秘境駅」として知られるJR土讃線・坪尻駅(徳島県三好市池田町)の待合室にある記念スタンプが昨年8月、盗難に遭い姿を消した。
スタンプは2010年にも行方不明になったが、青森市内で2か月後に発見。
だが、今回は4か月たっても出てこない。駅を管理する阿波池田駅は「いつまでも鉄道ファンをがっかりさせるわけにはいかない」と作り直した。

 山に囲まれた坪尻駅は、急勾配の区間に平坦へいたんな引き込み線を設けた「スイッチバック」式の駅。川の流れと鳥のさえずりのほかには、「マムシ注意」の看板がおり立つ人を驚かせる寂れた風情が人気を集めている。
鉄道以外の手段で駅に到達するのは困難なため秘境駅と呼ばれるようになった。JR四国の観光列車「四国まんなか千年ものがたり」の停車駅にもなっている。ただ、普通列車が停車するのは1日上下計7本だけだ。

 以前のスタンプは地元の住民グループ「おおぞら会」が08年に作った。左に桜、右にモミジの間を列車が走り抜けるデザインで、思い出を記してもらうノートと共に待合室に置かれていた。

 最初の盗難被害は10年2月で、2か月後、約1300キロ離れたJR津軽線の中沢駅で見つかった。

 ところが昨年8月末、「千年ものがたり」の乗務員がなくなっていることに気付いた。阿波池田駅はしばらく様子を見ていたが、スタンプがないことを嘆く書き込みがノートに増えてきたという。
「(青春)18きっぷを使って来ました。もっていった人、早く返して」「鉄道ファンのためにどうか持ち去らないでください」など訪れた人たちのいくつもの落胆がつづられていた。

 盗まれたスタンプが見つからないことから新調を決意。デザインの中央にある列車は「千年ものがたり」に変更されたが、そのほかは従来の絵柄を踏襲。4日午後に設置された。

 新たなスタンプを最初に押した宮城県名取市の会社員(42)も「何が目的なのだろう。秘境巡りを楽しみにする人の気持ちを考えてほしい」と憤慨していた。

 小川芳弘駅長は「わざわざ訪れるファンの気持ちや思い出まで盗むことは許されないこと」と、スタンプが見つかることを願っている。

秘境駅の記念スタンプ、2度目の盗難…作り直し
2019年1月10日 21時35分
https://www.yomiuri.co.jp/national/20190108-OYT1T50017.html