スタミナ苑は予約を受け付けていないので、開店前から並ばなければならない。だが逆に、並べば必ず入れる。
一年や二年先の予約を取らなければならないという、敷居の高い店とはちょっと違うのである。
勿論、平日は5時開店のところを4時には行って並んでいないと、一回転目では入れないが。

● 東京都心からはかなり遠い店の場所 「この鹿浜という場所にあるからいい」

店の場所も、足立区鹿浜という東京都心からはかなり遠い、赤羽駅からタクシーで15分くらいのところにある。
「陸の孤島」と呼ばれる場所で、かなりハードボイルドな感じが漂っているが、本書の末尾に書かれているように、豊島さんはここから動くつもりは一切ないと言う。

「うちの店は、この鹿浜という場所にあるからいいんだと思うよ。
赤坂や六本木に出したら喜んでくれるお客はいるだろうけど、ここから他の場所に、ましてや都心に移る気なんてさらさらない。
うれしいことに、東京駅近くの新丸ビルができたときも誘いがあったけど、断ってしまったな。
僕は土地とかそういうものにステータスを感じないんだ。

昔はファーストクラスに乗ったり、いいものを身につけたり、そんな自分がかっこいいって思ってたときもあった。
でもさ、お金の無駄だよね。
韓国へ飛行機に乗って行く時も、たかだか2時間に何十万も出してさ。
「ああ、バカらしい」って、徐々にそう思うようになってきたんだ。カッコつけることをやめたわけじゃない。カッコ良くいたいさ、そりゃ男だもん。
でもね、この歳になって、やっと気がついたことがある。僕は、ホルモンやレバーを切っているときが一番格好いいんだ。

開店と同時に「いらっしゃい」って大きな声であいさつする。客が続々と入ってきて、みんなが注文をする。
僕と兄貴が作った料理、肉、そしてホルモンを従業員が運ぶ。
みんなが笑顔になる。その様子を僕はこの場所で眺める。最高だよ。ここはスタミナ苑という名の僕たちの舞台なんだ。」

有給休暇を取って、平日の夕方4時から並んで思いっきり焼肉を堪能する。そういう非日常もたまには良いのではないだろうか。

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