今月、安倍総理と河野外務大臣がロシアで臨む平和条約締結交渉に先立ち、国営「ロシアテレビ」が北方領土をめぐる討論会を放送しました。

「一体、我が国(ロシア)は、北方領土を引き渡すつもりはあるのかどうか?」(国営「ロシアテレビ」司会者)

「さまざまな事情から、我々の大統領は日本へ主権を譲渡することはしません」(ロシア科学アカデミー極東研究所 キスタノフ日本研究センター所長)

「第二次世界大戦時、日本はナチス・ドイツの味方になり、島を失った。それらの島は合法的に最初はソ連となり、今はロシア連邦に属しています」(経済評論家 ラプーシキン氏)

10日、国営「ロシアテレビ」が放送したのは、ロシアの日本専門家や、政治、経済などの評論家が参加した北方領土をめぐる討論会。日本にとっては厳しい意見が相次ぎました。

「(島は)ロシア連邦の領土なので、北方領土に住むロシア人の運命を議論するのは時期尚早です」(政治評論家 セリワノフ氏)

「平和条約にせよ、共同経済活動の実施にせよ、日ロの見解が異なるのが改めて示され、そのすべてが法的な壁に突き当たりました」(ロシア戦略研究所 クリャチキナ専門員)

「日本が仮に1島か2島を手に入れたら、新たな日本の海峡ができ、そこをアメリカの空母がウラジオストクまで通過できるようになります」(政治評論家 セリワノフ氏)

討論会では、経済から軍事までの幅広い観点から、北方領土の一部を日本へ引き渡すことへの問題点が議論されました。日本とロシアの政府は来週14日、モスクワで外相会談を行うほか、翌週に安倍総理がロシアを訪れて首脳会談を行う予定です。日ロの重要な会談の直前に、プーチン政権の意向を反映するとされる国営放送が、改めてロシア側の立場を打ち出した格好です。

「日本がロシアに、なんらかの形で“日本の主権を認めるべきだ”と固執し続ける限り、交渉は終わりません」(ロシア科学アカデミー極東研究所 キスタノフ日本研究センター所長)

1月11日5時20分

https://news.tbs.co.jp/sp/newseye/tbs_newseye3570604.html