東日本大震災からまもなく7年10カ月。悲惨な事故を起こした東京電力福島第一原発がある福島県大熊町に、「原子力最中(もなか)」という菓子があった。原発事故の前まで売られていたが、今はない。

 いったい、どんな菓子だったのか。最中を作っていた「佐藤菓子店」の夫婦を訪ねた。

 店主の佐藤卓(たかし)さん(83)と妻のノリ子さん(79)。原発事故の後、大熊町を離れ、今は同県いわき市で暮らしている。最中の始まりは、第一原発1号機が営業運転を始めた1971年ごろのことだった。

 「当時の所長さんが店に来たとき、何か原発のおみやげになりそうなお菓子がないかいって言われて」

 佐藤菓子店の創業は61年。ちょうど新商品を出したいと思案していた矢先のこと。最初は町でよく見かけるキツネやタヌキの最中を作るつもりだったが、原発所長の一言で原子力最中が誕生したという。

 「主人とふたりで売れるもの、… (つづく以下有料記事)

どこより甘かった「原子力最中」夫婦はもう菓子作らない
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杉村和将 2019年1月9日11時56分