すでに2016年の時点でこのような第三者的指摘があった

東京五輪招致疑惑 五輪で賄賂は御法度が常識 国内法抵触の有無も焦点
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20160528/dms1605281000002-n1.htm

 2020年東京五輪の招致をめぐり、日本の招致委員会から国際陸連関係者の会社に2億円余りの送金があった問題について、
フランスの検察当局が捜査をしていると報じられている。

 発端は、国際陸連前会長ラミン・ディアク氏(収賄と資金洗浄の疑いでフランス司法当局が逮捕)と、
息子で陸連職員だったカリル氏(同じく逮捕)とのやりとりとされる。
英誌によれば、東京五輪招致委員会と国際陸連関係者の会社には、電通も関与していたとされる。

 JOC(日本オリンピック委員会)は、このカネについて「業務に対する正当なコンサルタント料」と説明している。

 日本の法律では、収賄は基本的には公務員に対する身分犯罪であるが、
フランスでは民間人同士の賄賂のやりとりについても贈収賄罪が成立するとされることから、刑事事件化しているのだろう。

 ただ、はっきりいえば、五輪以外の国際的な商業イベントに絡んでこうしたお金の流れはよくある。
純粋な民間イベントとして五輪をみれば、電通の役割もコンサルタント料として支払われたカネも問題にはならない。
むしろ、その程度で五輪というイベントが得られれば、ビジネスとして上出来だという評価もありえるかもしれない。

 また、今回の事件で電通が良くも悪くも重要な役割を担ってきたのは、五輪の商業化以降であり、
日本側としては電通を通じて働きかけてきた経緯は仕方ないだろう。

 しかし、五輪は1984年のロサンゼルス開催から一気に商業化したものの、まだ純粋な民間イベントになっていないし、
何より五輪のイメージ確保のために賄賂が横行してはまずいのだ。
賄賂は不正手段なので御法度というのが、今の国際常識だ。

 海外メディアによると、ディアク前会長は過去の国際大会でも賄賂を要求していたと報じられている。
このあたりの事情を電通が知っていてもおかしくないが、東京五輪招致委員会は知らなかったといえるかどうか。

 国際的な常識とともに、国内法に触れるかどうかのアプローチも必要となってくるだろう。
招致委員会の元事務局長は元官僚だ。外国公務員贈賄防止条約を日本も締結しており、
外国公務員等に対する賄賂も禁止されていることを知っていると思われる。
国際陸連はモナコ法に基づき設立された国際機関なので、一般論としてディアク氏は外国公務員等に該当する可能性がある。

 招致委員会の実務トップだった竹田恒和JOC会長は国会で、コンサルタント会社との契約について
「情報収集と効果的なロビー活動の詰めに大いに役立った」と述べている。

 今後、JOCがコンサルタント会社に支払った金がディアク氏側に流れたとの疑惑について解明が進むなかで、
外国公務員等への賄賂に該当するかどうかもポイントになってくるだろう。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)