加害女性の行為は器物損壊罪に当たるのは間違いないが、どの程度情状酌量の余地があるか(被害女医にどの程度非があったか)を
検討する。
1. 最大の論点として、本件の道が単なる被害女性の私有地であるか、建築基準法の道路に当たるのかが重要である。
なお、本件道が単なる私有地であるとして、女性の単独所有であるか周辺住民の共有であるかどうかは無関係である。
車を置くことによって共有者に迷惑をかけることはあり得るが、それは共有者間の問題であって赤の他人の加害者には何一つ関係がない。
2.今回の道が完全な私有地であった場合(位置指定されていない場合)。
この場合は、この道は裏道であって、ちゃんとした道路が別個存在することになる。
この場合、加害女性の行った行為は原則として、「他人の家の駐車場に不法侵入して車に傷をつける行為」と変わりがない。
私有地ではないと勘違いしていたことについて情状酌量はあり得るかもしれないが、かなり重い責任が問われるだろう。
3. 今回の道が位置指定道路(あるいは2項道路)だった場合。
位置指定道路は緊急車両が通れるようにしておかなければならないから、長い間駐車するようなら
被害女性には往来妨害罪が適用される可能性がある。
しかし、そのことと加害女性がこの道を通行する権利を有しているかは全く別(ちなみに地目が公衆用道路担っていたとしても同様)。
位置指定道路であっても、当然に通行権が発生するわけではない。
所有者との同意や契約に基づいて通行権を取得しなければならない
(長い間、多くの人々が自由に使っているという慣行があるなど特段の理由がある場合のみ別)。
https://www.retpc.jp/archives/1537/
この加害女性は、「自分がこの道を通るために邪魔」と考えて車を傷つけたわけだが、そもそもこの加害女性には
道を通る権利がないのだから、車に傷をつけたのだから、こちらも許されないことになるだろう。

なお、本件映像では「私道」という言葉が使われているが、市道という言葉は法律上ちゃんと定義された言葉ではないが、
建築基準法では「私道の廃止・変更」という形で一カ所だけ用いられている(建築基準法 第45条)。
単なる私的所有地であれば廃止・変更自体があり得ないので、建築基準法では私道とは
「私有地ではあるが、位置指定道路や二項道路になっているもの」を指して用いられていると思われる。
通常、「私道の法律問題」ということで取り上げられる場合、このような意味での私道が問題となるが、
位置指定もされていない単なる道の形をした私的所有地を第三者が通る、というような場合も私道という言葉が使われることもあり、
今回の被害女性もどういう意味で私道という言葉を使っているのかわからないので、私道という言葉は使わない方が賢明。
何の定義もせずに私道私道とわめいている人間は法律についてあまり知らないと考えた方がよい