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携帯電話の契約に身分証明として悪用

 愛知県警は2017〜18年、身分を偽って携帯電話を契約したとする詐欺容疑で
男8人を摘発したが、一部は偽造運転免許証を身分証明に悪用していた。
18年11月には神奈川県藤沢市のIP電話レンタル業の男(48)を
偽造有印公文書行使容疑などで逮捕し、事務所で偽造運転免許証の
コピー数十枚を発見した。

 不正入手した携帯電話は特殊詐欺など犯罪に使われている。愛知県警は
藤沢市の男を、特殊詐欺グループに携帯電話を提供する「道具屋」とみている。

 運転免許証は偽造防止のため1973年に透かし模様が入り、2009年から
順次ICカード化されている。懐中電灯などで光を当てれば透かし模様や
ICチップの有無が分かる。だが、携帯電話や口座の契約時に身分証明書で
本人確認している販売店や金融機関の窓口では、そこまで確認されて
いないのが実情だ。一方で捜査幹部は「透かしとICチップがなければ
偽造は難しくない」と話す。

 携帯電話会社などが加盟する電気通信事業者協会(東京都)の担当者は
「顔写真や、契約書の生年月日と年齢が合っているかは確認するが、
身分証明書が本物かまでは確認していない」と語る。ある地銀の支店長は
「身分証明書の偽造を疑っていたら窓口が回っていかない」と漏らした。

(をはり)